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森田療法とは

 

  • 森田療法は日本生まれの精神療法

森田療法は、精神科医・森田正馬(「まさたけ」または「しょうま」、1874-1938)により創始された、神経症性障害(神経症)に対する精神療法です。

当時、神経症は「神経衰弱」と呼ばれ、治療困難な疾患とされていました。有効な治療法が確立されておらず、いわゆる「インチキ療法」も横行していました。このような時代背景の中、森田は神経症に対する治療法の研究に取り組み、10年以上にわたる試行錯誤の結果、1919年、ついにこの精神療法の骨格を作り上げました。以後森田は自宅を利用し、神経症の患者を受け入れ、患者と生活を共にしながら治療・指導に当たりました。これが森田療法の始まりです。

森田療法は基本的に入院による方法が行われています(入院森田療法)。しかし採算性などの問題から入院施設が減少傾向にあります。現在では外来の場で森田療法を行うことが多くなっています(外来森田療法)。

森田療法が効果をあげる可能性の高い疾患は神経症性障害で、DSM-5(米国精神医学会出版、精神障害の診断と統計マニュアル第5版)ではパニック症、全般不安症、社交不安症、強迫症、身体症状症などに相当します(疾患の詳細については後述します)。ただ近年では、遷延性うつ病に対する治療、がん患者の心のケア、慢性疼痛の集団療法などにも応用され、その有用性が報告されています。

 

  • 森田療法の基本的な考え方

・森田療法は不安の受容モデル

精神分析療法、認知行動療法などの西洋生まれの精神療法は、「不安のコントロールモデル」と言われます。過去の心の傷や考え方の歪みなどの原因を探り、それを治療したり修正したりすることで、不安などの感情をコントロールしていくという考え方です。一方、日本生まれの森田療法では、原因探しは重視されません。しかも不安などを悪者扱いにすることはしません。むしろ、不安などを排除せずそのまま受け入れつつ、現実での必要な行動に踏み入れるよう指導します。このように、不安などをコントロールせず受け入れるスタンスを「不安の受容モデル」といいます。森田療法では、不安、恐怖は自然な感情であり、「生きたい」「~したい」という欲望(これを「生の欲望」と呼びます)と表裏一体の関係にあるという解釈をします。例えば、「大きな病気にかかったらどうしよう」という不安は「いつまでも健康でありたい」という欲望の裏返しであり、また「人に嫌われたらどうしよう」という不安は「健全な人間関係でありたい」という欲望と表裏一体の関係にあるということです。

 

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・神経症の成り立ち

人は誰しも不安、緊張、恐れなどの感情を抱くものです。ただ多くの場合一時的で収束します。しかし、不快な感情、症状を「特別なもの」と見なし、過度に気にしてそれらにとらわれるタイプの人もいます。このような性格傾向を森田は「ヒポコンドリー性基調」と名付けました。

上記の神経質な傾向を持つ人は、不快な感情、感覚を「あってはならないもの」と何とかして取り除こうとします。すると、その感情などに注意が向くことになります。そうすると、これまでささやかなものであった感情、感覚が鋭敏になってしまい、かえって強く感じられることになります。更にそれを取り除こうとすると、ますますその感情などに視野狭窄し、しまいにはそのことばかりしか考えられなくなってしまいます。このような悪循環を「精神交互作用」と森田は呼びました。

 

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更に「こうあるべき」という考えで自らを縛り付けることで、上記の悪循環を強めます。例えば、「身体の不快な症状はきれいさっぱり無くすべき」「誰にでも好かれなければならない」などという考え方です。このように、不可能なことを可能にしようという、頭でっかちな考えを持つことを「思想の矛盾」と呼んでいます。「こうあるべき」にとらわれると、「こうあるべきことができない」自分を責め、それをどうにかしようとあがいたり、必要な状況から回避したりしてしまいます。このような「はからい」により、精神交互作用をより強固なものにし、ますます不快な感情、症状を強めてしまうのです。

 

・森田療法の治療の基礎について

森田療法では、まずこの悪循環(精神交互作用)を明確にし、この打破を目指します。これまで不安や恐怖、症状を排除しようとしてきた不自然な構えをやめて、これらの感情ととりあえず付き合いつつ、目の前の必要な行動、本来すべき建設的な行動に手をつけていくよう指導します。神経症の悩みをもった人は、不安や症状の有り無しで一喜一憂する傾向にあります(これを「気分本位」といいます)。そうではなく、不安などがあっても、必要なこと、やりたいと思っていたことがきちんと行動できたか否かを重視します。この構えを「事実本位」「目的本位」と呼びます。このように、行動の「体験」を積み重ねることで、これまで不安や症状を取り除くことばかりに費やされていたエネルギーが次第に自分の本来の生活へと向かっていきます。生活が健康的なものになると、自然に気持ちも健康になることを実感することでしょう(森田はこのことについて「外相整えば内相おのずから熟す」という言葉を使っていました)。

森田療法での治療目標は、感情などの軽減、コントロールでは決してありません。むしろ、不安や恐怖などはそのままにし、自らの「生の欲望」に従って行動範囲を拡大していくことで、「自分らしい」生活を獲得していくことを目指すのです。

 

  • 森田療法の対象となりうる疾患は?<工事中>

ここでは、DSM-5での名称を用いて説明します。

なお、各疾患の詳細については適宜アップしていきます。

・パニック症

・全般不安症

・社交不安症

・強迫症

・身体症状症

・病気不安症

・遷延性うつ病、気分変調症

★通常、うつ病、双極性障害(躁うつ病)、統合失調症の急性期には適応になりません。

 

  • どのような方が森田療法に向いているか?(「森田神経質の診断基準」抜粋)

・症状や悩みに対して異和感を持ち、苦悩、苦痛、病感を伴う(これを「自我異質性」といいます)。

・以下の強力性弱力性の両者を持ち合わせた「神経質性格」を持つ。

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・とらわれの機制(「思想の矛盾」「精神交互作用」…上記記事参照)が明確であること。

なお、森田療法は何といっても「体験」を重視します。自分でやってもらうことが多い療法です。よって、本人の高い治療意欲、自分で治していこうという構えが大切です

 

  • 森田療法では薬物療法は行なわないのか?

森田が活躍していた当時、神経症に有効とされる薬剤は存在しませんでした。このため森田は薬物療法を一切排除した経緯があります。しかし現在では医学の進歩に伴い、精神疾患に有効とされる薬剤が多く開発されるようになりました。このため、現代の森田療法では、治療を円滑に進めるため必要に応じて薬物療法を併用することがあります。ただし、当院では薬剤の種類、量は必要最低限にとどめるよう努めます。

 

★森田療法を希望される方は、初診時に「森田療法希望」とお伝えください。診察したうえで、森田療法の適応の可否を判断いたします。なお、特に森田療法を希望されない方に対しても、適宜森田療法の考えに基づいた生活指導を行ないます。

 

 

  • オススメ図書

★は入門書として特にお勧めする本です

 

★北西憲二監修 健康ライブラリーイラスト版「森田療法のすべてがわかる本」講談社

★北西憲二著「実践森田療法」講談社

・森田正馬著「新版 神経質の本態と療法」白揚社

・森田正馬著「新版 神経衰弱と強迫観念の根治法」白揚社

・高良武久著「森田療法のすすめ ノイローゼ克服法」白揚社

★岩井寛著「森田療法」講談社現代新書

・北西憲二+中村敬編著 心理療法プリマーズ「森田療法」ミネルヴァ書房

・帚木蓬生著「生きる力 森田正馬の15の提言」朝日新聞出版

・慈恵医大森田療法センター編「新時代の森田療法~入院療法最新ガイド~」白揚社

・南條幸弘著「神経質礼賛 精神科医からの応援歌」 白揚社

・南條幸弘著「家康 その一言~精神科医がその心の軌跡を辿る」公益財団法人静岡県文化財団

★青木薫久著「なんでも気になる心配性をなおす本 よくわかる森田療法・森田理論」KKベストセラーズ

・青木薫久著「森田理論応用② 心臓と神経が強く太くなる本」批評社

・中山和彦著「言葉で理解する森田療法 まったく新しい森田療法のかたち」白揚社

★中村敬監修 こころのクスリBOOKS「よくわかる森田療法 心の自然治癒力を高める」主婦の友社

 

 

 

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