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335. ノルマル17歳。―わたしたちはADHD-

[2024.08.30]

 2週連続、映画作品に関する記事です。

 数カ月前、ツイッター(現・X)をチェックしていたところ、ADHD(注意欠如・多動症)(注)を題材にした映画作品が公開されると知りました。タイトルは「ノルマル17歳。-わたしたちはADHD-」。この作品を観たいと思い、今年4月、当時上映していた東京・吉祥寺のシネマへ足を運びました。
 この作品の主人公は、2人の女子高生。進学校に通うまじめな絃(いと)と、見た目が派手なギャルの朱里(じゅり)です。2人に共通しているのは、ADHDと診断されており、その特性により生きづらさを抱えているということです(ただ、本作品には医師をはじめ医療従事者は一切登場しません。このため、この2人が定期的に通院をしているとか、薬物療法を受けているとかは一切不明です。発達障害(神経発達症)の関連作品で医療従事者が出てこないのはある意味珍しいと感じましたが、これも本作品の一つの特色と言えましょう)。
 本作品では、主人公の2人がADHDの特性により生活が円滑に送りにくくなったり、周囲とトラブルになったりする場面が数々登場します。これらは、ADHDの啓発ビデオよりもずっとリアリティがあるものです。また、周囲の人たちはADHDについて誤解しているところがあり、特に朱里の父のセリフ「ADHDという名前に甘えているだけだ!」は私も聞いていてとてもつらくなりました。主人公の2人は、周囲の人たちからは「普通のものさし」で問題児のように扱われます。この「普通のものさし」で生きづらさを感じている2人が、「普通」から脱出し、「本当の普通とは何か」へと目ざしていく1)というのが本作品のテーマです。
 この作品の主演は、新人の鈴木心緒(こころ)さんと西川茉莉さん。「教育ママ」な母親を演じるのは、眞鍋かをりさん、「ADHDという名前に甘えている」などと罵倒する父親を熱演するのは、元日テレアナウンサーの福澤朗さん、そして神社の宮司役として、村野武範さんが登場するなど、実力派の俳優が出演しています。
 「ノルマル17歳。―わたしたちはADHD―」は、まずは東京・吉祥寺で上映され、かなり反響が大きかったそうです。その後各地で上映され、栃木県でも9月13日から宇都宮ヒカリ座(東武宇都宮駅の近く)にて上映開始されます!この作品は、ADHDを正しく理解するための一助になるものと思っております。

(注)ADHD:Attention Deficit Hyperactivity Disorder。注意欠如・多動症。発達障害(神経発達症)の一種で、「不注意」「多動」「衝動性」を特徴とするもの。

1)「ノルマル17歳。―わたしたちはADHD―」公式ウェブサイト
https://normal17.com/


当院の玄関にも本作品のポスターを掲示しています(2024/08/30現在)。

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