352. こわれ者の祭典
先月、東京・新宿のライブハウスにて、「こわれ者の祭典」というイベントに参加しました。醜形恐怖、アルコール依存症、摂食障害などを経験した出演者が、自らの「生きづらさ」を自慢するというもの。出演者の方々のお話を伺い、大変勇気づけられましたし、何といってもこのイベントに参加して、妙に居心地がよかったのです。ここでは詳細は書けませんが、私自身にも何らかの「生きづらさ」を抱えているゆえんなのかもしれません。
ここで配られた資料に、12月22日に新潟市で開催される「こわれ者の祭典」の案内チラシが入っていました。このイベントにも参加してみたいと感じるようになりました。新潟は遠方のように思えてしまい、参加するかどうか迷いましたけれども、那須塩原から新幹線を使えば(大宮で乗り換え)、約2時間半で行けることに気づきました。もう一度このイベントの雰囲気を味わいたい!と思い参加を決めました。
開始時間になると、「こわれ者の祭典」の代表・月乃光司さんをはじめとする出演者が登場しました。月乃さんは、高校入学時から対人恐怖症・醜形恐怖症に悩み、アルコール依存症や自殺未遂などにより3回精神科病院に入院。その後自助グループにつながり次第に回復し、現在では会社員として働きつつ、病気体験をもとにした自作詩の朗読活動をされています。また、躁うつ病・摂食障害などで精神科病院に2度の長期入院歴を持つKacco(カッコ)さん、高校時代から強迫症、対人恐怖など(本人は「ノイローゼ」と表現)で悩まされたキバヤシ・オズさん、中学時代から生きづらさを感じ、摂食障害とアルコール依存で精神科病院に医療保護入院(いわゆる強制入院)となった経緯を持つゆみさんのほか、スペシャルゲストとして、さいがた医療センター院長の佐久間寛之先生も登壇されました。「病気だヨ!全員集合!」という掛け声でこのイベントは始まりました。トークとパフォーマンスの2部構成で、前半のトークでは、出演者のどん底体験、人生をどうやってやり直したかについてのお話を伺いました。時折、佐久間先生がコメンテーター役として、解説をしてくださいました。どうやって人生をやり直したかのコーナーでは、自助グループで仲間を得るとか、音楽活動や芸術活動など、自己表現をすることで次第に回復していったというお話がたいへん印象的でした。
会場には書籍や絵画の販売がありました。私は、Kaccoさんの絵画を購入いたしました。
Kaccoさんは、精神科病院に長期入院したあとも引きこもりの生活を続けていたそうです。そのような真っ暗闇の中、家族の知人の旅行会社からイラストの作成を依頼されました。旅行案内のパンフレットに掲載するものです。それを作成することで、「他人から必要とされた」とやる気が出て、報酬を受け取り、大きな自信が生まれたとのことです1)。現在は癒し系表現者として、メディアにも多く登場されています。
後半は、出演者によるパフォーマンスです。ギターの演奏や歌唱、朗読などが披露されました。
月乃さんの詩の朗読では、「対人緊張はなくすのではなく、緊張のままに場数をふんでいく」という内容の言葉がありました。森田療法と類似する言葉だとつい感じてしまいました(実際に月乃さんは、森田療法の自助グループ「生活の発見会」にも長年参加されていたそうです)。
今回の「こわれ者の祭典」も、非常に癒され、元気を頂くことができました。新潟に足を運んでよかったと思いました。誠にありがとうございました。
★このイベントでは写真撮影OKとのことでした。なお、この記事の写真はクリックで拡大できます。
「こわれ者の祭典」
https://kowaremono.studio.site/
【引用】
1) 新潟日報 2022年5月28日掲載記事(イベント当日に配られた資料より)
週1回のペースで更新してきたこちらのブログ、今年も無事に完走することができました。いつもお読みいただきありがとうございます。皆様、どうぞよいお年をお迎えください。