9. 森田正馬没後80年墓前祭&記念講演会
7月15日、「森田正馬没後80年墓前祭&記念講演会」に参加いたしました。
森田正馬(まさたけ、しょうま)先生(1874-1938)は、わが国独自の精神療法「森田療法」を創始された、高知県香南市(こうなんし)生まれの精神科医です。今年が没後80年に当たることから、地元高知県で墓前祭と記念講演会が開催されました。
午前は、墓前祭です。森田先生の生まれ故郷・高知県香南市野市町の「のいちふれあいセンター」で執り行われました。
会場のステージ中央には、森田先生の肖像画が飾ってありました。はかま姿で、ピンとのびた口ひげが印象的で、威厳が感じられる肖像画でした。
墓前祭の次第。
献花の時間には、参加者全員が森田先生の肖像画の前で花を手向けました。この墓前祭には約330名の方が参加されたとのことです。
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午後は高知市の「高知県立県民文化ホール」へ。記念講演会に参加しました。
エントランスホールには高知県立高知追手前高等学校(注)の書道部員による作品が展示してありました。
テーマは「森田正馬の15の提言」。特別講演をされる帚木蓬生先生(作家、精神科医)の同名の書籍で取り上げられた15のキーワードが書かれていました。
1000名くらい収容できるという「オレンジホール」はほぼ満席!森田療法やメンタルヘルスへの関心の高い方がいかに多いかがうかがえました。開会の前に、高知県立高知追手前高校吹奏楽部によるウェルカム演奏。とてもレベルの高い演奏でした。
記念講演では3人の先生方による講演で、森田先生の業績、森田先生が育った生家と風土、森田療法の日常生活への実践についてのお話を伺うことができました。そして、いよいよ特別講演。帚木先生が「生きる力~森田正馬の15の提言」という題でお話をされました。師匠の中尾弘之先生にまつわるエピソードをはじめ、帚木先生お気に入りの森田療法の言葉について紹介。ユーモアあふれるお話で、あっという間の1時間でした。
これらのイベントに参加して、改めて森田先生の偉大なるご功績について学ぶことができました。森田療法は元々、神経症に対する治療法として創始されました。しかし最近では難治性のうつ病、疼痛性障害、皮膚科領域や歯科口腔領域の疾患、がんの集団療法など幅広い疾患、分野に応用されています。自然災害の被災者へのケアにも役に立つという報告もあります。また医療や心理学の枠を超え、日常生活でよりよく生きる術(すべ)としても大いに活用できます。これだけ我々の生活に密着した精神療法は他にはないと思います。このすばらしい療法を高知生まれの医師が一人で作り上げられたのだ、ということを再認識いたしました。
(注)高知県立高知追手前高校の前身は高知第一中学校で、森田先生の母校です。