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どくとるあるぱかのブログ

95. カフェインの話 後篇(2020.03.06更新)

 カフェインの効能は、集中力の向上および、眠気や疲労感の軽減1)です。我々は、仕事などもうひと踏ん張りの時に1杯のコーヒーを飲むことも、よくあることと思います。
 しかし、カフェインを多量に摂取することで、精神的にも、身体的にも悪影響を及ぼす恐れがあります。これがカフェイン中毒です。主な症状は、不安感、イライラ感、興奮、頭痛、吐き気などです。あまりにも過剰に摂取すると意識障害や呼吸不全、けいれん発作を起こし、最悪な場合には死に至ることもあります1)。実際にカフェインの急性中毒により死亡する若者のケースも報告されています2)
 特に、発育途上の子供たちは成人よりも少ないカフェイン量で中毒に至ることがあり、注意が必要です。

 季刊ビィ130号2)には「エナジードリンクにハマる子どもたち」などカフェイン依存についての特集が掲載されています。

 多くのエナジードリンクにはカフェインが含まれています。レッドブル 250mlには80mg、モンスターエナジー355mlには142mgのカフェインが入っています。エナジードリンクを過剰に摂取することで、頭痛や胸痛などの身体症状を訴える子や精神状態が不安定になる子が出てきている2)そうです。

 文献2)には、男子中学生のケースが紹介されています。もともとおとなしいタイプだったのに、エナジードリンクを常飲するようになってから、気分の乱高下が激しくなりました。頭痛を頻繁に訴え、リストカットを繰り返すようになり、精神科の医療機関へ。そこでは統合失調症の薬剤が処方されたものの、事態が改善することはありませんでした。実際に本人の背景を探ってみると、父親との衝突があったといいます。思春期特有のストレスをエナジードリンクで紛らわそうとしていたとのことです。その後父と和解し、それから徐々にエナジードリンクの本数が減少し、しまいには手にしなくなりました。するとまもなく医師の判断で投薬も終了となったそうです。

 また、ドラッグストアやインターネットで市販されている、カフェインの錠剤も問題視されています。その商品のパッケージには「眠気やだるさを取る」と謳っています。近年では、眠気覚ましや疲労感を和らげる手段としてカフェイン錠剤を服用する若者が増えているそうです。カフェインには「耐性」があります。カフェインを摂取し続けると、いつもの量では眠気覚まし等の効能が得られなくなってしまうことです。エナジードリンクでは効かなくなってきたと感じ、カフェイン錠剤へと移行する若者のケースもあり3)4)、彼らがカフェイン錠剤をサプリの感覚で服用することで、いつの間にか錠数が増えてしまい、しまいには中毒症状を起こして救急搬送されるケースも報告されています3)
 代表的なカフェイン錠剤「エスタロンモカ」(エスエス製薬)1錠には100mgのカフェインが含まれています。成人で短時間でカフェイン1000mg以上摂取すると中毒症状が出現する(注)という研究があります2)ので、このカフェイン錠剤なら10錠で中毒量に達してしまいます。

 エナジードリンクやカフェイン錠剤はインターネットを含めて比較的容易に入手できます。更にエナジードリンクは、コンビニや自販機でも買えてしまいます。しかしながら、カフェインを過剰に摂取することによる健康被害についてはまだまだ認知されていないのが現状です。「市販されているものだから安全」という考え方は大変危険です。せめて、成人よりも少ないカフェイン量で中毒症状を起こしやすい、子供たちへの販売は規制すべきなのでは・・・とつい感じてしまいます。

 

(注)カフェインへの感受性の強い人の場合はそれよりも少ないカフェイン量で中毒症状が出現することもあります。

 

【引用(参考)文献】
1) Sadock, B.J., Sadock, V.A., Ruiz, P: Kaplan & Sadock’s Synopsis of Psychiatry 11th edition. Wolters Kluwer, Philadelphia, 2015.
2) 秋山千佳,松本俊彦:カフェイン依存 エナジードリンクから市販薬問題まで.季刊ビィ130,2018.
3) NHK クローズアップ現代 急増!カフェイン中毒 相次ぐ救急搬送 いま何が.2017/09/21放送 https://www.nhk.or.jp/gendai/articles/4036/
4) 秋山千佳:依存の《入り口》に立つ子どもたち 6 エナジードリンクの罠.季刊ビィ138,2020.

 

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