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142. はなまるスタンプ

[2021.01.22]

 昨年秋、ニンテンドースイッチのゲームソフト「いっしょにあそぼ~♪コウペンちゃん」(ネオス株式会社)1)を購入しました。癒し系キャラクター「コウペンちゃん」(100話)をゲームにしたものです。

 舞台は古民家の喫茶店。コウペンちゃんをはじめ、邪エナガさん、アデリーさんなどのおなじみのキャラが登場します。とてもまったりした雰囲気のゲームで、仕事などで疲れたときにピッタリの内容です。

 このゲームでは、「はなまるカード」(スタンプ帳)が出てきます。キャラクターとミニゲームで遊んだり、様々な箇所に落ちている「よつばのクローバー」をキャラクターにあげたりすると、「はなまるスタンプ」がもらえます。一定数「はなまるスタンプ」が集まると、オリジナルストーリー「とくべつなおはなし」を観ることができます。この「おはなし」は100以上あるとのこと。

 この「はなまるスタンプ」と同じような要素を、アルコール医療で採用している医療機関があります。埼玉県立精神医療センターです。こちらでは「ごほうび療法」を積極的に導入しているとのことです2)。アルコール専門医療機関での入院治療では、集団療法、勉強会など、様々な内容のプログラムが行われ、通常8週間など期間を定めて実施されることが多いです。こちらの医療機関では、患者さんが個々のプログラムに参加する度ごとにシールを配布し、「プログラム参加表」(シール台紙)に貼ってもらうということが行なわれているそうです。また、入院治療中にめざましい良い変化が見られた患者さんには「努力賞」「優秀賞」も授与しているとのこと。

同センターの成瀬暢也先生によると、この「ごほうび療法」を導入してから、治療スタッフの患者さんに対する批判的、否定的な見方が排除され、肯定的に良い点をみつけて伝えようという雰囲気になったとのことです。また患者さん側も、プログラムへの参加意欲や継続性が高まる、強制感、やらされている感が軽減する、という効果もあったそうです2)

 また外来場面でも、危険な状況を回避できた、規則正しい生活ができた、断酒できた、自助グループに参加できた、家事が手伝えたなど具体的な課題をクリアできている場合は、治療者から「小さなごほうび」を提供することで、より治療意欲を高めることができると、成瀬先生は述べておられます2)

 冒頭で述べた癒し系キャラクター「コウペンちゃん」は、「いいところを見つけるのが上手」1)だそうです。実際にコウペンちゃんは「出勤してえら~い!」「寝て起きたの?すご~い!」など肯定的な言葉をかけてくれます。アルコール医療を担う治療者は、コウペンちゃんにあやかるとよいのかもしれません。

 

【文献など】
1)  「いっしょにあそぼ~♪コウペンちゃん」公式サイト(ネオス株式会社)
 https://game.neoscorp.jp/koupen/
2) 成瀬暢也:アルコール依存症治療革命.中外医学社,東京,

 

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