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151. 自動車教習所の鬼教官のこと

[2021.03.26]

 最近、路上教習中の車をよく見かけます。現在学生さんは春休みであり、このタイミングで免許を取得しようという方が多いのでしょう。
 ところで教習所というと、鬼教官からさんざん罵倒されて、嫌な記憶をお持ちの方もいらっしゃることと思います。実は私もその一人です。
 私は大学生時代、Y市のN自動車学校で教習を受けました。交通ルールなどを学ぶ「学科」の教習では、学校の授業のようで楽しい印象がありました。一方苦痛だったのは、実際の車両で運転技術を身に着ける「技能」の教習です。運が悪いことに高齢の鬼教官Sに何度も当たってしまいました。運転技術上のミスについて叱ってくるのはやむを得ないことと考えていましたが、その教官Sは何度も私の人格を否定するような暴言を浴びせてきました(注:実際のSのセリフについてはここでは書かないことにします。セリフを読んで気分を害される読者さんがいらっしゃるかもしれませんから。それほどにひどい内容の発言でした)。このようなことを言われると、私は萎縮してしまい、かえってミスが増え、その度に暴言を吐かれる、の悪循環でした。今の私であれば、教官の変更を申し出るとか、しかるべきところにクレームをつけるという対応をしたと思いますが、当時の私はなす術がなく、泣き寝入りするしかありませんでした。嫌々ながらも通い続け、結局数回オーバーでN自動車学校を卒業。免許センターでの試験に合格し、無事運転免許を取得しました。しかしながら、自動車学校でのハラスメントに近い仕打ちがきっかけで車の運転が嫌いになってしまいました。私が10年以上もペーパードライバー生活を送ることとなった(32話参照)きっかけの一つになったと考えています。
 最近では、教官の態度がかなり軟化されていると聞いています。少子化で教習所の需要が低下しているこの時代、教官があまりにも厳しい対応をしてしまうと教習生が来なくなり商売が成り立たなくなる、という事情でしょうか。とはいえ今でも鬼教官から暴言を吐かれ、適応できなくなった教習生のお話も伺っております。教習所の教官は、安全なドライバーを育てるという使命がある以上、態度の悪い教習生や、あまりにも危険な運転をする教習生に対して、それなりの教育的指導を行なうのは、当然なことです。しかしながら、人間性を否定するような言葉を浴びせ続けて、教習生に精神的苦痛を与えるような指導は明らかにいきすぎです。「教官は怒るのが仕事だ」「厳しい指導は強いメンタルを鍛えるために必要だ」という話をよく聞きます。しかしパワーハラスメントに近い指導をすれば、安全なドライバーが育てられるという科学的根拠が果たしてあるのでしょうか?このようなデータや論文があれば、是非ともお示ししてもらいたいものです。

 

 

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