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252. 気象予報士試験の思い出 前篇

[2023.02.03]

 この前の日曜日(1月29日)、第59回気象予報士試験が行われたとのこと。受験された皆さん、お疲れ様でした。
 私も今から18年前(2005年)、気象予報士試験に挑戦いたしました。
 なぜ難易度が高いとされる気象予報士試験に挑戦しようと思ったのか。そのきっかけは以下の2つです。
(1)小さいころから私は天気予報が大好きであり、気象予報士という資格にあこがれを抱いていたため。
(2)医師になってから、心身の不調とお天気は関連するところがあるのではと感じるようになった。実際に冬に抑うつ的になるとか、冬から春にかけての「季節の変わり目」に不調を訴えられる患者さんが多い印象にある(あくまでも実感であり科学的根拠はよくわかりません)。また快晴の日に虫垂炎が多いという話も聞いたことがある。気象学を勉強することで医療活動にプラスになるのではないかと感じたため。
 まずは書店で、「なる本 気象予報士」1)という本を購入しました。この本は、気象予報士試験対策としてどのような勉強をすればいいかが網羅されており、後半部分には気象の基礎知識も載っています。この本によると、勉強のファーストステップとしてマンガ本「天気100のひみつ」2)を推奨しています。すぐさまそのマンガ本を購入して通読しました(詳細は164話に記した通りです)。続いては高校の地学の参考書3)。そして、気象予報士のバイブルともされる、「一般気象学」4)を2回程度読みました。あとはひたすら問題集を解いていました。気象予報士試験では、必ず法律に関する問題が出されます。その対策として、「そこが知りたい!気象と災害の法律知識」5)も読みました(この本は、イラストが多くわかりやすいのですが、内容がやや古く、省庁再編前の記載になっているため、「運輸省」「建設大臣」などという用語が登場したのは少し戸惑いました)。
 資格試験の勉強をする際に問題となるのは、勉強する時間をいかに確保するかです。当時私は山形県新庄市の病院に勤務しており、居住地の山形市から勤務先の新庄市まで鉄道で通勤していました。山形から新庄までの所要時間はおよそ45分(「山形新幹線・つばさ」利用で)。その移動時間が絶好の勉強タイムとなりました。特に、朝7時台に山形駅を発車する新庄行き「つばさ」の車内は閑散としており、勉強するには最適な環境でした。もちろん、周囲の人に怪しまれないように、参考書や問題集にはブックカバーをかけていました。また、病院の当直をしていた際に、誰もいない医局でこっそり勉強したこともありました。
 気象予報士試験では、知識を問うマーク式の試験のほかに、天気図などの資料を読んで、それをもとに論述したり天気図を描いたりする、実技の試験もあります。実技の問題集を解く際に、レポート用紙などに自分で考えた論述の解答を書き、答え合わせの際に模範解答と照らし合わせる、を繰り返し、論述式問題の解答のコツをつかんでいきました。
 あと、HBC北海道放送のウェブサイトにて公開されている「専門天気図」6)を毎日閲覧していました。その天気図を読み込んで、勤務地の新庄市(山形県最上地方)の天気を予想し、気象庁発表の天気予報と比較する、というトレーニングを毎日していました。気象庁の予報と私の予想に食い違いが生じた場合、どうしてこの予報になるのか、を考察していました。このトレーニングは、専門天気図を読みこむ良い訓練にもなりますし、実技の試験の対策になりますので、これから気象予報士試験を受けられる方々に、ぜひともお勧めいたします(しかも無料なのがうれしいところです!)。
 このように私は、完全に独学で、気象予報士の勉強をいたしました。気象予報士試験対策として様々な通信教育講座がありますけれども、私は利用しませんでした。医師としての仕事が多忙であり、そこまで手をのばす余裕がなかったためです。

・・・後篇に続きます。

【文献・サイト】

注)私が勉強で使用した書籍1)~5)は18年前に購入したものです。これらの書籍はすでに内容が古く、中にはすでに絶版のものもあります。これから気象予報士試験の勉強をされる方は、最新の書籍を購入されることを強く勧めます。

1) 森田正光,大野治夫:なる本 気象予報士 改訂第4版.週刊住宅新聞社,東京,2003.
2) 清水教高 監修,シュガー佐藤 漫画:学研まんが 天気100のひみつ.学習研究社,東京,1992.
3) 新ひとりで学べる 地学I.清水書院,東京,2003.
4) 小倉義光:一般気象学【第2版】.東京大学出版会,東京,1999.
5) 新田尚監修,気象災害研究会編:そこが知りたい!気象と災害の法律知識.オーム社,東京,1997.
6) https://www.hbc.co.jp/weather/pro-weather.html

 

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