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264. 「うつ」はがんばらないで治す

[2023.04.28]

 先日、中村敬先生(現・東京慈恵会医科大学 森田療法センター名誉センター長)のご著書、「『うつ』はがんばらないで治す」1)を久しぶりに拝読いたしました。


 このご著書は約22年前に出版されたもので、私が研修医の頃に購入したものです。当時、こちらを何度も読み返し、うつ病の患者さんへの精神療法について勉強を重ねたことを思い出します。最近ツイッターで、このご著書のサマリーが投稿されているのを発見し、久々に読んでみようと思ったのです。
 このご著書のテーマは、「森田療法による、うつ病の『養生法』」。うつ病の療養の基本として、わが国では服薬とともに休養が重視されている。確かに、うつ病の初期は十分な休息が必要である。しかし、病気の全経過中、休息だけでよいのかという問題意識がある。うつ病の症状がある程度回復した時点では、徐々に活動を再開する必要がある。回復の時期、状態に応じた具体的な療養の指針が必要であろう、という思いからこのご著書を執筆された、と中村先生は述べておられます。
 このご著書の構成は、第1、2章は、うつ病と森田療法の概説、第3章はメインテーマである、森田療法によるうつの養生、第4章は遷延したうつ病に対する入院森田療法、第5章はうつ病の再発予防、第6章は家族の対処法となっています。
 20年ぶりにこのご著書を拝読し、うつ病の患者さんやご家族に対してどのようにフォローすべきかについて再確認することができました。更には、新人時代にはあまり気づかなかったことについて新たに学べた箇所も多く、久々に拝読してとても勉強になりました。
 このご著書は、患者さんやご家族向けであり、文章はとても平易で、大変読みやすいです。うつ病の養生法、再発予防の方法、そして家族の対処法などが具体的に書かれており、患者さんやご家族がうつ病について学ぶのに非常に有用な内容であると感じます。こちらのご著書を、日常の診療において、患者さんにお勧めしたことがあります。しかし、出版年が2001年であり、残念ながら現在では入手が困難であるとのこと(とある方は、オークションサイトで入手されたと伺っております)。可能であれば、うつ病の最近の知見や治療薬について付け加えた「新版」を出版してくださると大変ありがたいと密かに感じております。

【文献】
1) 中村敬:「うつ」はがんばらないで治す.マガジンハウス,東京,2001.

 

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