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270. 「健康オタク」だった家康

[2023.06.09]

 先日、「NHK大河ドラマ特別展『どうする家康』」(於:東京・三井記念美術館)を観覧しました。家康の生涯に関する貴重な史料が豊富に展示しており、とても見ごたえのある展覧会でした。また、広瀬アリスさんらが出演する音声ガイドでは、展示品について分かりやすく解説されており、理解を深めることができました。
 この展覧会の冒頭で、家康が使用したとされる遺品が多数展示されていました。最初に、茶碗、鉛筆、香炉などがあり、奥には、「びいどろ薬壺」(壺の中には家康が調合したとされる薬の成分が入っていた)、家康が好んで読んだとされる「朝鮮版 和剤局方」(漢方処方箋集)、家康が薬をすりつぶす際に使用したとされる「青磁体 附 乳棒」(乳鉢と乳棒)も展示してありました。これらを見て、家康が健康にかなり気を遣っていたことを再確認しました。
 家康が「健康オタク」だったことはかなり有名です。薬学についての幅広い知識を持ち、専門家が驚くほどだったという話もあります。漢方薬を自ら調合し、家康の隠居の地である駿府には薬草園もありました。調合した薬は自らのためだけでなく、家臣に与えたり、幼少期病弱だった孫の竹千代(のちの家光)にも服用させたりしたエピソードがあり、刀傷や矢傷の治療に使う膏薬も作ったそうです1)。また家康は食事にとても気を配っていました。粗食を心掛け、主食は麦飯だったとのことです。愛知県岡崎市の八丁味噌も好んで食しており、家康が関東に移ってからも、岡崎からこの味噌を江戸まで取り寄せていたという話もあります。八丁味噌には、他の味噌に比べてたんぱく質が多く含まれる2)ほか、活性酸素の働きを抑えるとされる「メラノイジン」が多いとも言われています3)
 安土桃山時代当時の平均寿命が30~40代といわれている中、家康は75歳(数え年)という長寿を全うされました。これも、家康の「健康オタク」がいかんなく発揮されたからだと考えられています。

【引用文献、サイト】
1) 南條幸弘:しずおかの文化新書19 家康 その一言~精神科医がその心の軌跡を辿る~.公益財団法人静岡県文化財団,静岡,2015.
2) 調味料の百科事典
https://kireinasekai.net/hattyoumiso-kounou/
3) カクキュー公式サイト 味噌の豆知識
https://www.kakukyu.jp/hatchomiso_tips.asp

 

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