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34. 笑いと健康 前篇

[2019.01.04]

 あけましておめでとうございます。
 今年も、身近な精神科診療所として地域医療に貢献できるよう尽力するとともに、ブログなどを通じてメンタルヘルスに役に立つ情報を発信していきたいと思っております。どうぞよろしくお願いします。

 

 さて、「森田正馬全集」(第1~7巻)という大著が白揚社から刊行されています。森田正馬先生が書かれた論文、書籍、日記指導の記録などが収録されており、森田療法を研究する上で大いに役に立ちます(初期の論文は旧漢字・旧かなづかいで記載されており、読みにくい箇所がありますが・・・)。その中で最も読まれているのは、第5巻ではないかと思います。この巻には、「形外会」という座談会の記録が載せられています。森田先生の下で治療を受けた神経症者が体験談を語り、ご意見番の森田先生がコメントを述べられています。当時はテープレコーダーなど録音する機器がない時代で、出席者の語りを参加者の一人が速記したといわれています。その労力には頭が下がる思いです。そのおかげで、「形外会」の記録を現代の我々も読むことができるのですから。

 「形外会」は、先述の通り、座談会が中心なのですが、それだけではありません。時には森田先生を中心とするメンバーでピクニックや旅行へ行かれており、その記録も「森田正馬全集 第5巻」で読むことができます。
 新年会の記録もあります。先述の書の293-299頁には、新年会で落語、ゲーム、劇などの余興が行なわれたことが記載されています。おそらくワイワイガヤガヤしながら、笑いの渦に包まれていたことが想像されます。
 新年会に限らず、形外会では時に落語家が招かれ、落語を聞くコーナーが設けられたという記述もあります。
 それにしても、なぜこの形外会で、落語などの笑いのイベントが行なわれたのだろう?・・・私は第5巻を読んでいて疑問に思いました。もしかすると、(ここは私の勝手な推測なのですが)森田先生は「笑いは健康に良い」ということを熟知されていたのかもしれない、と考察しております。

 最近では「笑いと健康」について科学的に多く立証されるようになりました。「笑い」が、様々な慢性疾患に有効とする研究もたくさんあり、それを実践している医療機関もあります。なお、具体的な内容については次回に譲りたいと思います。
 昨年(2018年)は自然災害が多く、「今年の漢字」に「災」が選ばれました。今年2019年は、「笑」が選考されるような1年になってほしいものです。

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