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59. 日日是好日

[2019.06.28]

 先日とあるCDショップを訪れたところ、映画「日日是好日(にちにちこれこうじつ)のブルーレイを発見しました。昨年11月にシネマで観て、とても印象的な作品でしたので思わず衝動買いしてしまいました。

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 この物語は、大学生の主人公・典子(黒木華)が、母の勧めで、いとこ・美智子(多部未華子)とお茶を習いに行くところから始まります。師匠の武田先生(樹木希林)から習う所作について、どんな意味なのか疑問に思う、典子と美智子。それを訊ねると、「意味なんてわからなくていいの。(中略)先に『形』を作っておいて、その入れ物に後から『心』が入るものなのよ」と武田先生。更には、「なんでも頭で考えるからそう思うのよねえ」と付け足します1)。この箇所を鑑賞して、頭でっかちな姿勢は排除され、疑問に思いながらも部屋の掃除や動物、植物の世話をやっていく、入院森田療法(29話)とそっくりだと感じました。

 

 さて、森田療法の文献にも「日日(日々)是好日」という言葉が登場します。まずは、森田療法の創始者、森田正馬先生のお言葉2)を紹介します。

 私の解釈では、「日々是好日」とは、坐禅をして陶然とすることではない。日々の小さい精神の緊張を指して言ふのである。日常、朝も晩も・生も死も・楽しくても苦しくても・皆それぞれが、好日なのである。

 金持だから・熱があるから(中略)、好日でないと云ふのではない。(中略)あらん限りの力で・生き抜かうとする希望・その希望の閃きこそ、「日々是好日」なのである。

 

 また、浜松医大名誉教授の大原健士郎先生は、ご著書3)の中で「日日是好日」についてわかりやすく解説されています。

 「日々是好日」とは、毎日毎日が好い日だということではない。毎日を好い日にしようという強い意志を包含した言葉である。
 人間、生きていくのに苦労はつきものである。人生に希望がなければ苦しみもない代わりに、喜びもない。人生に強い希望をもてば、苦難も多いし、またそれを克服したときの喜びも大きい。気分だけをとり出してみると、毎日毎日が、好い日でありえようはずがないのである。しかし、行動面をとり出せば、気分とはかかわりなく、その日その日を充実させることは可能である。仕事・勉強で充実した日が送れれば好い日とし、そうでない日は悪い日とすると規定すれば、自分の努力によって毎日を好い日にすることができる。

 

 先述の映画作品でも、主人公の典子は、就職の失敗、失恋、そして父の死など、人生上の苦難が訪れた時も、ひたすらお茶の稽古に通います。そして少しずつ典子の内面に変化が訪れます。辛い現状でもそれを受け入れつつ、一日一日目の前の物事を成し遂げようとする大切さ。このことを、本作品から学びました。

 私も、「日日是好日」を念頭に、日々過ごしていきたいと思います。

 

【引用文献】

1) 映画「日日是好日」公式サイト https://www.nichinichimovie.jp/

2) 森田正馬:日々是好日. 高良武久編:森田正馬全集 第七巻; 471-479, 白揚社, 東京, 1975.(旧漢字は現代の漢字に改めています)

3) 大原健士郎:日々是好日 森田療法は創造的体験療法. 白揚社, 東京, 2003.

 

 

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