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94. カフェインの話 前篇

[2020.02.28]

 83話で述べました通り、私は最近になりカフェインの入った飲料が飲めなくなりました。コーヒーはもちろんのこと、紅茶や緑茶も駄目になりました。これらを飲むと、動悸や冷や汗などの不快な症状が出現してしまいます。どうやらカフェインに敏感な体質になってしまったようです。
 これまでは、ドライブの休憩の際には1杯のコーヒーが欠かせませんでした。高速道路の休憩施設にある自販機「ミル挽き珈琲・アドマイヤ」(注1)のドリップコーヒーは特に好物でした。しかし最近はこのような楽しみができなくなりました。ランチでよくある、コーヒーか紅茶の選択の際にも、困ってしまいます。先日はやむを得ず紅茶を選びましたけれども、飲んだ後に動悸が続き、ひどい思いをしました。学会等のランチョンセミナーでお弁当と一緒についてくる、紙パックのお茶を飲んだ時も、動悸や冷や汗が出ます。

 ところで、それぞれの飲み物で、どのくらいカフェインが入っているのか、気になりました。インターネットでカフェイン含有量について検索してみた結果、文部科学省「日本食品標準成分表2015年版(七訂)」1)に飲料のカフェイン量が記載されていることが分かりました。以下の通りです。なお、品名の後に示されている量は、それぞれの飲料100g当たりに含まれるカフェイン量で、カッコ内は浸出法です。

玉露  160 mg (茶10g・60℃ 60mL 2.5分)
煎茶   20 mg (茶10g・90℃ 430mL 1分)
ほうじ茶 20 mg (茶15g・90℃ 650mL 0.5分)
玄米茶  10 mg (茶15g・90℃ 650mL 0.5分)
コーヒー 60 mg (コーヒー粉末10g 熱湯150mL)
ミルクココア(インスタントココア、調整ココア) 微量(注2)

 また、北海道立消費生活センターのHP2)にはペットボトルのお茶(500mL)1本に含まれるカフェイン量のテスト結果が公開されています。

緑茶     57.8 mg
烏龍茶    66.3 mg
紅茶     60.5 mg
ほうじ茶   63.1 mg
ジャスミン茶 40.3 mg
麦茶、ルイボスティー、そば茶、米茶、とうきび茶 不検出
(参考品:某社の缶コーヒー(ブラック、185g) 88.6 mg/1本)

 意外なことに、お茶にもそれなりにカフェインが含まれることが分かります。

 米国の精神医学の参考書3)には、カフェインは全般不安症やパニック症、原発性不眠症に対して禁忌と考えられるという記載があります。また、妊娠中の女性も要注意です。カフェインを多量に摂取することで、胎児の発育不良、低体重児の出生、早産、死産のリスクがあると指摘されています4)。WHOは、カフェインを1日300mg以上摂取している妊娠中の女性に対し、カフェイン摂取量を低減すべきことを推奨しています4)

 その他、カフェインに関連した問題として見逃せないものに、「カフェイン依存」があります。それについては次回に譲ります。

 

(注1)高速道路のサービスエリアやパーキングエリアでよく見かけるコーヒーベンダーです。お金を投入すると「コーヒールンバ」の曲が流れ、豆を挽き、そしてドリップする過程を画面で見ることができます。
http://www.mirubiki-coffee.jp/

(注2)ココア飲料の最大手・森永製菓のHPには、ココアにもわずかにカフェインが入っており(コーヒーやお茶に比べてはるかに少ない由)、カフェインに敏感な人やアレルギーのある人は気を付けてほしい、と書かれています。
https://www.morinaga.co.jp/contact/faq/detail/37

 

【引用文献】

1) https://www.mext.go.jp/a_menu/syokuhinseibun/1365295.htm
2) http://www.do-syouhi-c.jp/test/kira101otyanokafein.pdf
3) Sadock, B.J., Sadock, V.A., Ruiz, P: Kaplan & Sadock’s Synopsis of Psychiatry 11th edition. Wolters Kluwer, Philadelphia, 2015.
4) https://www.who.int/elena/titles/caffeine-pregnancy/en/

 

 

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