当院における向精神薬多剤投与に係る報告
当院をはじめ、多くの精神科・心療内科の医療機関では、薬物療法として、向精神薬(注1)を処方することがよくあります。かつては多くの種類の向精神薬が漫然として処方された時代もありましたが、近年ではできる限り薬剤の種類を少なくすべきという考え方が一般的になっています。多剤の向精神薬を長期に服用してしまうと、薬剤の効果のメリットよりも、身体への負担が生じるリスクが高くなってしまうからです。多くの種類の向精神薬を投与することを、「向精神薬多剤投与」と呼んでいます。
(注1)ここでの「向精神薬」とは、抗不安薬、睡眠薬、抗うつ薬、抗精神病薬のことをいいます。
保険医療機関は、1回の処方において「向精神薬多剤投与」(注2)を行った場合、厚生局に状況を報告することになっています。報告する時期は、4,7,10,1月で、直近3カ月間の状況を報告します。
このたび、当院が厚生局に報告した内容を、ホームページに公開することにいたしました。
(公開するデータは2022年以降のものです)
(注2)厚生局に報告すべき「向精神薬多剤投与」の定義
・抗不安薬3種類以上
・睡眠薬3種類以上
・抗不安薬及び睡眠薬4種類以上
・抗うつ薬3種類以上
・抗精神病薬3種類以上
当院にて、やむなく「向精神薬多剤投与」を行わざるを得ないケースは主に以下の通りです。
・他の医療機関様からご紹介いただいたケースで、すでに前の医療機関で「向精神薬多剤投与」になっており、やむなくその処方を引き継がざるを得ない場合(このケースが下の2つに比べ多いです)→患者さんにご説明の上、できるだけ多剤投与の状況を解消すべく減薬するよう努めています。
・患者さんの病状悪化のため、治療目的でやむなく一時的に多剤投与が必要な場合
・薬剤の切り替えが必要となり、切り替え途中で一時的に多剤投与とならざるを得ない場合
当院ではなるべく「向精神薬多剤投与」が生じないよう(やむなく多剤投与となった場合も短期間で解消できるよう)努力しております。
「当院における向精神薬多剤投与に係る報告」(PDF)
(2022年1月~2024年9月)