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260. 消えゆくローカル線

[2023.03.31]

 北海道に、JR留萌本線(るもいほんせん)というローカル線があります。深川と留萌を結ぶ路線です。その線区のうち、石狩沼田―留萌間は、本日(令和5年3月31日)をもって、鉄道営業が終了します。
 かつて、この留萌本線は、留萌より先、増毛(ましけ)まで線路が延びていました。しかし、利用客の減少により運営が困難であることから、留萌―増毛間は平成28年12月に廃止されました。そして先述の通り、石狩沼田―留萌間が本日で営業を終了。残る深川―石狩沼田間は明日以降も運行がおこなわれるものの、3年後(令和8年)に廃止されることが決まっています。
 私は約7年前、この留萌本線に乗ったことがあります。ちょうど留萌―増毛間の廃止が報じられた時期ということもあり、1両の気動車(ディーゼルカー)はファンで満席でした。深川から留萌を経て増毛まで乗車し、増毛駅で少し過ごした後、折り返しの列車で留萌まで乗りました。途中、連続テレビ小説「すずらん」のロケ地にもなった、明日萌駅(恵比島駅)を通りました。また、留萌より先では海をみることができ、癒されました。この路線に観光列車をゆっくり走らせればよいのにとふと思ってしまいましたが、もともと経営難であるJR北海道はそこまでするエネルギーがないのでしょう。
 ここ最近、北海道を中心にローカル線の廃止が相次いでいます。平成31年に石勝線(新夕張―夕張間)、令和2年に札沼線(さっしょうせん)(北海道医療大学―新十津川間)、そして一昨年(令和3年)には、日高本線の鵡川―様似間がそれぞれ廃止されました。根室本線の富良野―新得間も来年廃止となるという報道もあります。北海道以外では、島根県江津市と広島県三次市を結ぶ三江線(さんこうせん)が平成30年に廃止されており、九州では、豪雨災害のため不通が続いている日田彦山線の一部区間は、鉄道での復旧を断念し、BRT(バス高速輸送システム)へ転換されることが決まりました。私が約20年前に乗車し、風光明媚な車窓風景に感動した、肥薩線(JR九州)の一部区間も、豪雨災害で長期運休となっています。この復旧工事に多額の費用がかかる上、たとえ鉄道の運行を復活させたとしても採算が合わないのではとJRは懸念しているため、今も復旧のめどはたっていません。今後この路線がどのような方向になるのか、とても気になります。
 ローカル線の旅の魅力は、のんびりと、ゆっくりと車窓が楽しめる点です。これは新幹線の旅では決して味わうことはできません。しかし、近年ではローカル線の多くが赤字路線で、経営状況が芳しくない線区については、バスなど他の交通への転換について協議をしている地域もあると聞きます。今後、ますますローカル線が無くなってしまうのではと危惧しています。
 とにかく今は、機会があれば、様々な路線に乗り、ローカル線を応援したいと思っております。

【おまけ:留萌本線の旅(H28/01/30撮影)】
(H28年に廃止された、留萌―増毛間の写真もあります)


深川駅に待機する、留萌本線の列車。すでに並んでいるファンが。


ドラマ「すずらん」のロケで使われた、明日萌駅(恵比島駅)。
明日(R5.4.1)以降、列車が通ることは一切なくなる。


本日をもって廃止となる、留萌駅。


留萌―増毛間では、車窓から海を見ることができた。


かつての留萌本線の終着駅だった、増毛駅。

 

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