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312. まさか、私が「難聴」!?

[2024.03.22]

 昨年8月頃、突然周囲の音が過敏に聞こえるようになりました。車で音楽を聴いている際のパーカッションの音や、パソコンのキーボードの打つ音などがいつもよりうるさく感じられました。8月11日の山の日に参加した塩谷町のウォーク大会「しおや湧水の里ウォーク」でも、川の水の音が通常とは違うように聞こえ、とても違和感を覚えました(結局この大会は途中で体調を崩しリタイヤしたことは、280話で記載した通りです)。ただ当時は、しばらくすれば治るだろうと思い、放置しました。しかし、それから、耳鳴りや耳閉感(耳がふさがった感じ)も加わりました。さすがにこれは耳鼻科を受診したほうがよいと感じ、11月に○○市の某総合病院を受診しました(注:担当の先生にプレッシャーを与えないよう、私が医師であることを伏せました。また問診票の職業欄には、「医師」「開業医」ではなく、「自営業」と記載しました)。
 まずは検査です。ティンパノメトリーという鼓膜の動きを調べる検査と聴力検査がなされました。後者の聴力検査は、様々な周波数の音が流され、音が聞こえたらボタンを押すというものです。検査が終わった後、いよいよ診察。その先生曰く、「聴力検査の結果、低音部の聞こえが悪くなっているようです。『低音障害型感音難聴』というものです。ストレス性の難聴ともいわれます。片耳が障害されるケースが多いのですが、(筆者の場合)両耳が障害されており、珍しいケースです。発症してから2カ月以内に治療が始まれば治りやすいのですが、もう3カ月以上経っていますので、治療が難しいかもしれません(注)」とのことでした。


初診時の聴力検査。〇は右、×は左の気道聴力で、[は右、]は左の骨導聴力。両耳で低音での聴力が落ちてしまっている。

とにかく薬で治療しましょうとのことで、メコバラミン(ビタミンB12、末梢神経障害改善剤)、アデノシン三リン酸二ナトリウム水和物(代謝賦活、抗めまい剤)、カリジノゲナーゼ(循環障害改善剤)の3種が処方されました。40代後半の私が「難聴」といわれ驚きましたが、とにかく治療していかなければなりません。以後3~4週間に1回通院し、その都度聴力検査が行われました。聴力検査の部屋は薄暗いため、検査中眠くなってしまい、集中力を持続させるのに苦慮しました。また、聞こえる音が実際のものなのか、耳鳴りによるものか判別が難しいこともありました。聴力検査の結果は受診のたびによくなることもあれば悪化することもあり、一進一退の経過でした。疲労が強いときは聴力が悪くなる傾向にあるようで、演題発表をした日本森田療法学会(296話)の直後の検査では、結果がかなり悪くなっていました。よほどその時は疲れていたようです。それでも、粘り強く薬物療法を続けました。また、もともと「ストレス性」といわれたゆえ、仕事が忙しい場合も昼休みの時間帯には必ず数十分の昼寝をするようにし、夜間の睡眠時間を7時間程度確保し、更には当院の休診日には日帰り温泉へ行くなどリフレッシュする時間を設けるようにしました。3月上旬の検査では、「大分聴力はよくなりましたよ」との先生のお話でした。「20dB以上あれば問題ないです。治癒です。治療終了です」とのことで、薬も終了となりいったん終診となりました。


3月上旬の聴力検査。左右とも20dB以上に改善している。


 確かに最近では、聴覚過敏は少なくなりました。しかし、現在も耳鳴りが時折出現しています。疲れが出た時や、気圧が一気に下がった時は耳鳴りが強くなる傾向にあるようです。しかし耳鳴りを「取ろう取ろうとすると徒労(トロウ)に終わる」1)ため、しばらくこの症状とは付き合っていくしかないと思っています。

【引用文献】
1) 芦沢健:依存症治療における森田療法の効用~治療者にとっても患者にとっても,とっても役に立つかもしれない.日本アルコール関連問題学会,18:2-5,2016.

(注)急激に聞こえが悪くなった、耳が詰まった感じがする、耳鳴りがするなどの症状が出た場合、すぐに耳鼻科を受診すべきとされています!これらの症状を放置してしまうと、治りにくくなり、難聴や耳鳴りが残存してしまうこともあるとのことです!

 

 

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