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57. うつ妊!~私、妊娠しちゃダメですか?~

[2019.06.14]

 漫画家・月ヶ瀬ゆりの先生のコミックエッセイ「うつ妊!~私、妊娠しちゃダメですか?~」(講談社 ワイドKC、2019)を拝読いたしました。うつ病の当事者である著者が、妊活、妊娠を経て無事出産された体験を漫画にした作品です。妊娠中、つわりやうつ症状に苦しみながらも、「自衛隊病院」(おそらくはS県T市にある某大学病院?)周産期メンタルチームからのサポートを受けつつ、時には双極性障害(躁うつ病)を抱えるママ友と励ましあい、遂には出産するという感動的な内容となっています。なんといっても、作中に登場する旦那様の献身的なケアには大変感銘を受けました(ちなみに旦那様は、「ヤマノススメ」(15話参照)などの著者として知られる、漫画家のしろ先生です)。

 妊娠の際に、うつ病の当事者の方が心配されることの一つに「薬は続けるべきかやめるべきか」があることと思います。本作品にもこの内容を取り扱った箇所があります。著者が担当医に対し、「抗うつ薬をやめたい!」と訴えるシーンです。著者の訴えに対し、医師は「抗うつ薬は続けてください」と即答します。「(抗うつ薬をやめることが)うつ妊娠でいちばん危険な行為です」と伝えた上で、薬を中断することでますますうつ症状の悪化が懸念され、更には離脱症状が出る恐れもある。「薬をやめて母体が危険にさらされるほうが赤ちゃんに悪影響」であると説明していました。そして「抗うつ薬よりタバコのほうがよっぽど赤ちゃんには悪い」とも語っていました。このシーンはとても説得力のあるものと感じました(注)

 うつ病など精神疾患を抱えた当事者の女性で、「妊娠してよいのだろうか」「薬は続けるべきだろうか」などと不安を覚える方は多いのではないでしょうか。本作品はこれらの方々に勇気や希望を与える1冊ではないかと思います。

 

(注)薬を続けるべきかどうかは、個々のケースや薬の内容により対応が異なることもあります。詳しくは担当医にご相談ください。

 

 

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