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298. しもつかれを食べてみた

[2023.12.22]

 下野新聞社公認Vチューバ―・栃宮るりはさん(297話)の配信で、「しもつかれ」のことが話題になりました1)。しもつかれとは、栃木県を代表とする郷土料理で、鮭の頭、煎った大豆、鬼おろしでおろしたダイコンとニンジン、油揚げとともに、酒粕を入れて煮込んだ料理2)です。独特な見た目やにおいから、栃木県民の中にも好き嫌いが分かれるとされ、配信の視聴者からも、「学校の給食によく出されたけど、においがダメで残す子がいた」などのコメントがありました。
 実を言うと私は、栃木県生まれで現・栃木県民でありながら、しもつかれを食べたことがありませんでした。私の故郷である足利市(栃木県南西部の都市)では、しもつかれを食べる風習がないそうで、学校の給食でも出された記憶がありませんでした。るりはさんの配信を見て、しもつかれとはいったいどんな味がするのだろうと、とても気になりました。後日、地元のスーパーで買い物していたところ、たまたまチューブ入りのしもつかれを発見。自称「知りたがりの神経質」の私は、購入してみることにしました。

 この「しもつかれ」は、宇都宮市の大関商店さんが製造している商品で、県内のスーパーだけでなく道の駅やネットなどでも販売されているそうです。開封すると、酒粕の独特のにおいが広がってきました。正直言って、見た目がグロテスクな印象。早速食べてみました。なんだか微妙な味だなと感じました。しかし、毎日少しずつ食べているうちに、徐々にしもつかれのおいしさが分かってきました。しかも、これまで悩まされてきた、体のだるさが軽減されたような感じがしました。

 しもつかれには、「七軒食べ歩くと中風(脳卒中のこと)にならない」という言い伝えがあり、実際に様々な栄養素が豊富に含まれた食品とされています。具体的には、タンパク質、ビタミンA、ビタミンB群、ビタミンDのほか、DHA・EPA、GABA、食物繊維などが含まれているそうです3)4)。タンパク質は、骨や筋肉だけでなく、ドパミンやセロトニンなどの神経伝達物質を作るために必須な栄養素とされており、「体と心の土台部分」とされます。ビタミンA、ビタミンD、DHA・EPA、食物繊維は腸管の抗炎症作用があります(腸管の炎症は栄養の吸収障害になりえます)。ビタミンD不足は「冬季うつ」のリスクにもなります。ビタミンB群は、エネルギー産生と代謝に必須のもので、これがないと脳の神経伝達物質を作れませんし、エネルギーも産生できません。GABAはいわゆるリラックスホルモンとされているものです5)
 仕事などで忙しくなると、ついコンビニ弁当、ファストフード、インスタント食品などで済ませたくなります。しかし、栄養の偏りは、心身ともに不調をきたす恐れがあります。しもつかれは見た目が悪いものの、栄養バランスに優れた食品であり、偏食しがちな方々にお勧めいたします。

 

【文献、サイト】

1) You Tube 栃宮るりは「初めてのマシュマロつまみ食い」(該当する箇所は40:10頃から)
https://www.youtube.com/live/3gq5BLXUkGU?si=9BZ5B9xarxytFXv6

2) Wikipedia 「しもつかれ」
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%81%97%E3%82%82%E3%81%A4%E3%81%8B%E3%82%8C

3) カロリーSlism しもつかれ
https://calorie.slism.jp/200448/

4) 栃木県教育委員会:とちぎの食文化調査研究発信事業 シモツカレ調査報告書
https://www.bunka.go.jp/seisaku/bunkazai/joseishien/syokubunka_story/pdf/93910605_02.pdf

5) 奥平智之:最新版 マンガでわかる ココロの不調回復 食べてうつぬけ.主婦の友社,東京,

 

 

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