おかげさまで当院は本日（11月1日）、開業5周年を迎えました。
　かつてはここ那須塩原市には、精神科を専門とする診療所は1件もありませんでした。当時那須地域の病院に勤務していた私は、「これでは地元の方々は不便な思いをされているのではないか」と憂慮いたしました。そこで、私がこの地に精神科診療所を設立し、少しでも地域のお役に立てればという思いから、2018年11月1日、当院はスタートいたしました。
　ありがたいことに、開業後は、多くの患者さんにお越し頂いており、地域の医療機関の先生方からも多くのご紹介を頂いております。この場をお借りして御礼申し上げます。また、この5年間、無事に大きな事故なく診療を続けることができました。これは到底私一人では成し遂げることができないことであり、スタッフの力によるものが大きいと感じております。スタッフには大変感謝しております。
　当院での特色は何といっても森田療法です。森田療法が効果を上げるとされている疾患は、パニック症、強迫症、身体症状症など、いわゆる「神経症」と呼ばれるもので、当院ではこれらの疾患の患者さんに積極的に森田療法を用いた精神療法を施行しております。森田療法は、よりよく生きるための「術」が詰まったものであり、上記に挙げた疾患以外の患者さんに対しましても、大いに森田療法の考え方を活用させていただいております。また当院では、他の医療機関では拒みがちなアルコール使用障害などの依存症の患者さんを受け入れております（注）。遅ればせながら、最近、当院でも飲酒量低減薬・ナルメフェン（商品名「セリンクロ」）が処方可能となり、より依存症治療の選択肢の幅が広がりました。依存症で悩まれる患者さんの回復に少しでもお役に立てればと思っております。
　これからも、「利他の心」をモットーに地域医療に貢献していきたい所存です。今後ともどうぞよろしくお願いいたします。

（注）離脱症状が著しいケース、身体状態が悪化しているケース、認知機能障害が認められるケースなど、当院での対応が難しいと考えられる場合は、規模の大きい専門の医療機関をご案内しております。

★次回は、11月10日(金)更新の予定です。