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50. 森田療法との出会い 後篇

[2019.04.26]

前回の続き)

1999年4月20日の精神医学の講義プリント。
その日の担当は、生地 新(おいじ あらた)先生(注)だった。
(注)現・北里大学大学院医療系研究科発達精神医学教授

確か、「森田療法は赤面恐怖にも適応となります。
赤面の人に『赤面していいから、前で喋りなさい』などと指導します」
などと教えていただいたのを覚えている。

これを聞いて、もしかすると自分の赤面も森田療法で治るかもしれない、と思った。

その日のうちに、大学のパソコン室へ向かい、
インターネットで「森田療法」を検索した。

そして、北西憲二先生(現・森田療法研究所・北西クリニック)の記事をプリントアウトし、持ち帰って読んだ。

もっともインパクトが強かったのが、
「精神交互作用」の記事だった。

赤面しまい、考えまいと排除しようとすると、それに注意が向いて、
より症状が強まってしまうという内容だ。

これは目から鱗だ。

そして、書店へ行き、森田療法関連の書籍を購入。
むさぼるように読んだ。

100分の講義、集中できるはずがない。
雑念が湧くのは自然。
赤面は排除しない。
etc. etc.

いつしか、赤面や雑念へのとらわれから解放され、
私の友人からは、「最近明るくなったねぇ」と言われるくらいになった。

森田療法の素晴らしさを実感した私は、この療法をもっと世間に広めたい、
そして森田療法の発展に貢献したい、と思うようになった。

それが、私が精神科医になろうとしたきっかけである。

数年後の医師国家試験は余裕でパス。某大学の精神医学教室に入局するのである。

・・・・・・・・・・・・・・

森田療法との劇的な出会いから、20年。
現在私は、地方都市の小さな診療所で、医療活動を行なっている。
そして、森田療法を日々勉強し続けている。

もし、森田療法に出会うことがなかったら、私はどうなっていたのだろうか?
果たして医師になれたのだろうか?
もしかすると、途中で医学部をやめてしまったのかも・・・
などと考えると、とてもゾッとする。

本当に、森田正馬先生には感謝している。

これからも、森田療法の発展に少しでも貢献できるよう、日々精進していきたい。

 

(追記)
 週1回ペースで更新してきたこちらのブログは、今回で50回目に達しました。そして、今回は「平成」最後の更新となります。

 新しい時代「令和」でも、皆様のお役に立てるような記事を発信していきたいと思います。

那須こころの医院 院長 石川 純一

 

 

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