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358. 田代まさしさんの講演

[2025.02.07]

 この前の日曜日、歌手でタレントの田代まさしさんの講演を拝聴いたしました。
 田代まさしさんは、かつて多数のテレビ番組に出演されていました。私が小さいころ、田代さん出演の番組をよく視聴しており、「志村けんのだいじょうぶだぁ」のじいさんばあさんのコント(じいさん役が田代さん、ばあさん役が故・志村けんさん(99話)でした)は毎週楽しみに観ていました。2001年、田代さんが覚せい剤使用などで逮捕されると、マスコミは一気にバッシングの報道をしました。当時私は薬物依存についての知識が乏しかったために、その一連の報道を見て、田代さんのその行為に対し非常に憤りを覚えたものです。そのしばらく後、田代さんがNHKのニュースに登場しました。田代さんが回復施設ダルクにて活動しているとの報道でした。それを観た私は、田代さんが薬物を繰り返し使用してしまうのは、「薬物依存症」という病気の症状のせいであって、決して本人の意志の弱さや性格によるものではないと感じました。かつてマスコミのバッシングに同調してしまったことについて非常に反省したのでした。

 さて、この日の田代さんの講演が開催されたイベントには、約400人の方が参加されたようで、会場はほぼ満席でした。田代さんは講演の中で、ご自身の独特のギャグが何度も出てきました。会場は大爆笑。田代さんのお笑いのセンスは健在でした。講演の中で特に印象的だったお言葉を抜粋します。(【】は、田代さんのお言葉を受けた私の感想です)

・服役中に、元妻の母から手紙が届いた。「あなたのせいで、洗濯物が干せなくなった」という内容で、マスコミが元妻の母の家まで押しかけてしまい、参ってしまったとのことだった。【マスコミの過剰ともいえる取材。なぜマスコミは薬物で逮捕された有名人についてここまで過剰な取材をするのか。マスコミは薬物依存症について正しい理解をすべきで、報道ではバッシングをするのではなく、正しい知識を啓蒙すべきだ】
・最初自助グループに参加したときは、自分よりひどい人のお話を聞き、自分はそれより軽いと思っていた。しかし、繰り返し参加するうちに、自分と共通する部分が見つかった。【依存症からの回復には、自助グループが重要である!】
・記者会見で、「私は二度と薬物をやりません」と誓うのは嘘。「薬物をやめられる自信はありません。しかし、1日1日やめないようにするよう努力します」が正しい。【薬物依存症の当事者の方が薬物をやめ続ける難しさ】

 なお、田代さんはこの日の講演の前に、古峯神社(栃木県)の厄祓いと豆まきイベントに出たとのことでした(自分は「厄祓い」ではなく「祓い」だとギャグを言っていました)。神社では、これまでは神様にお願いするばかりだったが、今回はそうではなく、「神様!僕にお任せください!」と言ってみたそうです。そのほうが神様は振り向いてくれるかなとのこと。その言葉には私も感銘を受けたのでした。

 薬物依存症についてはまだまだ誤解や偏見が多く、有名人が薬物で逮捕されると、マスコミは一斉にバッシングの報道をしてしまうのが実情です。「覚せい剤やめますか、それとも人間やめますか」など、違法薬物を使用してしまうとあたかも人生が終わるかのような印象を与える言葉が普遍してしまっています。しかしながら実際は全く異なります。今回田代さんの講演を拝聴し、薬物依存症は回復可能な病気なのだと改めて実感いたしました。
 講演会終了後、私は会場の即売コーナーにて、田代さんの「おくすり手帳」を購入しました。また、早速田代さんのSNSの公式アカウントをフォローいたしました。
 田代まさしさんを応援していきたいと感じました。


田代まさしさんの「おくすり手帳」。中身は本物のおくすり手帳です。

【補足】田代まさしさんの講演の後にはパネルディスカッションがあり、田代まさしさんのほかに、田中紀子さん(ギャンブル依存症問題を考える会 代表)、高知東生さん(俳優、小説家で薬物依存症当事者)、岩永直子さん(Addiction Report編集長)が登壇されました。なお、このイベントの司会を塚本堅一さん(元NHKアナウンサー)が務められました。

(このイベントでは写真撮影OK(動画撮影NG)でした)

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