354. AIの実力
最近、X(旧ツイッター)を閲覧していたところ、Grokという機能が追加されたことに気づきました。
Grokは、イーロン・マスク氏が設立した企業、xAIにより開発された、対話型の生成AIチャットポットです。質問などを入力すると、膨大なデータを基に、AIが答えを出力してくれるというものです。これに類似したサービスとして、ChatGPT、Copilotなどがあります。
自称「知りたがりの神経質」の私は、試しに「森田療法は複雑性PTSDに対して有用か?」と入力いたしました。すると、すぐさまその回答が表示されました。
<以下は、Grokが出力した内容です。なお、引用のURLも表示されましたが、ここでは割愛しました>
複雑性PTSD(C-PTSD)に対して森田療法が有用かどうかについては、まだ科学的なエビデンスが限定的です。ただし、以下の点から考えると:
**森田療法の特性**: 森田療法は、心配や不安に焦点を当て、それらを自然な感情として受け入れることを促す方法です。C-PTSDの症状には、感情の調整困難や否定的な自己認識があるため、森田療法の理念がこれらの症状に対処する助けになる可能性があります。
**トラウマへの対応**: C-PTSDは長期的・反復的なトラウマ体験から来るため、その治療にはトラウマに特化したアプローチが必要です。森田療法は直接トラウマの処理を目的とはしていませんが、生活態度の改善を通じて間接的に症状の緩和に寄与する可能性があります。
**実践者の見解**: 一部では、森田療法の実践者が複雑性PTSDの患者に対しても有用と考える声があります。ただし、これは個々のケーススタディや非公式な意見に基づくものであり、広範な臨床試験の結果ではありません。
結論として、森田療法が複雑性PTSDに完全に対応する治療法であるかどうかは確定的ではありません。ただし、補完的な療法として一定の効果がある可能性は考えられます。C-PTSDの治療には、専門的な精神医療機関で、個々の症状に合わせた包括的なアプローチが推奨されます。
<引用終了>
真偽はともかくとして、回答が数秒で出力されたのには驚きました。この質問に対する回答について、私が成書などで調べてレポートにまとめるとしたら、それなりの時間がかかってしまうでしょう。
約6年前、こちらのブログの51話で、将来、AIが精神科の診察をこなしてしまうのではという空想を述べました。もしかするとこれが現実化してしまうのではと一開業医の私は危惧いたしました。AIに負けないよう、勉強を続けていかなければとあらためて感じました。
ところで、このGrokは、画像を自動で作成する機能もあることに気づきました。例えば、「お花畑のロボット」というワードを入力すると、その画像がすぐに出力されるというものです。ちょうど箱根駅伝をテレビで観戦していた私は、「箱根駅伝繰り上げスタート」と入力しました。すると・・・
<以下の画像は、Grokにより生成されたものです(実際には4枚一度に出力されますが、ここでは1枚をピックアップしました)>
たくさんのランナーたちの画像が出てきました。ただし、繰り上げスタートになった選手たちの無念さはこの画像では表現できていないようです。
続けて、いろいろワードを入力して試しました。
「栃宮るりは」
「栃宮るりは」さんは、下野新聞社公認Vチューバ―です(297話)。
一応AIは、るりはさんが女性のキャラだということは認識していたようです。そこに、るり色の髪、雷の「アホ毛」、いちごが入れば、よりるりはさんらしくなると思います。
「ちびまる子ちゃん」
ちびまる子ちゃんらしい女の子のイラストが出てきました。なぜかセーラー服姿ですが。
「那須塩原駅」
かなりレトロチックでローカル線の駅が出力されてしまいました。実際の那須塩原駅は新幹線が停車する駅なのですが・・・
出力結果をみて、思わず吹き出しそうになりますが、この画像を数秒で作成してしまうことには驚愕いたします。これからAIの技術が進歩することで、ますます実物に近い画像が生成できるようになっていくのではと予想します。
おしまいに・・・「那須こころの医院」と入力してみました。おそらくこぢんまりとした診療所の画像が登場すると思いきや・・・
「Grokで画像を作成」機能で「那須こころの医院」と入力したところ、めちゃくちゃ豪華な医療機関の画像が作成されてしまった🥺
— 石川 純一@那須こころの医院(栃木県那須塩原市) (@nasu_cocoro) January 3, 2025
この画像を当院HPに貼り付けたら、厚生局からめちゃくちゃ怒られるだろうな・・・ pic.twitter.com/rmi5NYX6xT
予想に反して、大規模の医療機関の画像が生成されてしまいました(さらに、病室の画像も登場してしまいました。実際の当院は無床診療所であり、入院施設は一切ありません)。この画像を当院ホームページのトップページや医院案内のページに張り付けてしまうと、「誇大広告」「虚偽広告」扱いにされ、厚生局から厳しい指導を受けることになるのは確実でしょう(ただし、ブログのネタとしてこの画像を使用する程度であれば問題ないと思います)。Grokで生成されたものとは異なり、実際の当院はとても小規模ではありますが、今後も地域に貢献できるよう精進していきたいと思います。