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15. 「ヤマノススメ」の主人公は神経質キャラ?

[2018.08.22]

 「ヤマノススメ」という漫画、アニメ作品をご存知でしょうか?

 漫画家・しろ先生原作で、登山好きの女の子たちの日常を描いた作品です。原作本は現在15巻まで発刊されており、現在アニメの第3期(サードシーズン)が放映されています。舞台は埼玉県飯能市で、山の名前、地名などはほぼ実名で出てきます。

 私はこの作品のファンで、コミックは全巻揃えており、アニメ第1期、第2期(セカンドシーズン)のブルーレイも持っています。もちろん第3期(サードシーズン)も欠かさず観ています(放送時間が深夜帯のため、録画しておいて、翌朝にチェックしています)。

 

(河口湖駅にて。2015年11月撮影)

 この作品は、人見知りが激しくインドア派の主人公・あおいが高校入学の際に、幼馴染のひなたと再会するところからストーリーが始まります。ひなたは「幼いころに一緒に見た、山頂の朝日をもう一度見よう!」とあおいを誘います。それに対しあおいは「山だけはダメ!」と拒絶します。かつてジャングルジムから転落し、それがきっかけで高所恐怖症になったからです。しかし、ひなたの強引な誘いで山登りを続けるうちに、あおいは少しずつ登山の魅力を感じるようになります。その後、あおい達の先輩で登山経験豊富なかえで、利発的な女子中学生ここなが加わり、あちこちの山に登るようになります。

 ただこの作品を観て私が気になっているのは、あおいがこの作品の主人公でありながら、ほかの登場人物に比べ存在感が薄いのでは?という点です。もしかすると、あおいは神経質性格を有するのではないかとも考えております。

 ここではあおいの性格について考察いたします。

 まず、かなりの人見知りがあります。精神医学の用語で表現すれば対人恐怖と言ってもよいと思います。しかしあおいの場合「他の人と仲良くしたい!」という健全な気持ちが十分あります。ただ、「人前で恥をかいたらどうしよう」という予期不安が先行してしまい、その結果あれこれ理由を作り、クラスメートからの誘いを断ってしまいます。

 また、極度の心配性です。ひなたと再会して初めての登山(とはいえ、近所の低い山なのですが)で、あおいはヘルメットなどの重装備をし、「まだ死にたくない!」と叫び、ひなたから呆れられてしまいます。現在放映中のアニメ第3期(サードシーズン)でも、あれこれ先々のことを心配してしまうあおいの姿を見ることができます。例えば、クラスメートとのカラオケで「自分が歌うと場がしらけるのではないか」と考えてしまう場面がありましたし、コーヒーを飲むときに「ミルクを入れると、ひなたから『お子ちゃまね~!』と馬鹿にされるのでは」と懸念してしまうシーンもありました。

 このような神経質の弱力性(弱み)ゆえ、高校入学まではインドア派で一人で過ごすことの多いあおいでしたが、ひなたとの再会がきっかけで少しずつ行動が変貌していきます。あれほど嫌がっていた山登りも少しずつハマっていき、富士山登頂に挑戦するまでになります。また、登山の仲間も次々増えていき、これまでなじめなかったクラスメートとも遊ぶようになりました。

 ここまであおいが成長したのも、相棒のひなたのおかげといってもよいでしょう。しかしそれだけではありません。あおいの神経質性格の強力性(強み)が発揮されたからだと考えます。

 まずは、非常に負けず嫌いであること。ひなたに対し、かなりのライバル意識をもっています。先述のコーヒーのエピソードでは、ひなたがコーヒーを飲んでいるところを目撃したあおいは「ひなたに先を越されてしまう」と懸念し、自分もコーヒーが飲めるようチャレンジします。この負けん気が、新たな行動に挑戦するエネルギー源になっているようです。最後まであきらめない性格もあり、カフェインの作用で寝不足になりながらも自分が飲めような苦みの少ないコーヒーの制作に挑みます。

 またとても几帳面なところもあります。編み物は得意で、クラスメートから上手だねと褒められます。なお出来上がった編み物を母親やバイト先の先輩にプレゼントしているようです(相手からの反応については作品では触れられていませんが、おそらく相手からは喜ばれているものと推測されます)。真面目な性格で仕事も丁寧であり、アルバイト先(お菓子屋さん)では、店長さんから高い評価を受けています。

 なにしろ、あおいはとても優しい性格を有します。先ほどの人見知り、心配性は弱力性にあたりますが、裏を返せば、相手のことをきちんと配慮し、気遣いができるということです。これだけあおいの周りに仲間が増えたのは、あおいの優しい性格を相手がきちんと評価したからだと思います。

 神経質性格は巷ではネガティブなイメージがつきまといます。神経質なんかやめてもっとおおらかになれと喧伝されることもよくあります(私もかつて同じようなことを散々言われました)。しかし、神経質は悪い性格ではまったくありません。むしろ神経質を上手く生かすことで、非常に優れた性格にもなるのです実際、神経質性格を有する著名人はたくさんいます。

 終わりに・・・アニメファンの間では、「○○(キャラの名)は俺の嫁!」というフレーズが流行っているようです。私は、「ヤマノススメ」ファンの皆さんに、是非とも「俺の嫁」としてあおいをお勧めいたします。ズバリ「アオイノススメ」です(笑)。

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