344. お天道様は見てござる
自宅には毎月、人間学を学ぶ月刊誌「致知」が届きます。この雑誌の定期購読を始めたのは、昨年1月だったと思います。大変お世話になっている会計事務所の代表の方がこの雑誌を読まれているそうで、時折この事務所の会報で「致知」が紹介されているのを読み、私も定期購読してみようと思い立ったのがきっかけだと記憶しています。こちらの雑誌には、名経営者をはじめ、研究、スポーツ、教育など各界で活躍されている方々の対談やインタビュー記事が掲載されており、これらを読むことで私のモチベーション・アップにつながっております。
毎月この雑誌を拝読していた中で、特に印象に残った言葉があります。2023年12月号に掲載された、「お天道様は見てござる」という言葉です。あんぱんの元祖として知られる木村屋總本店の社長、木村光伯(みつのり)氏のインタビュー記事1)のタイトルになっています。木村氏は、28歳で木村屋の7代目社長に就任。同社は4期連続で赤字を出す経営危機に陥りますが、木村氏の指揮の下で見事生まれ変わりました。木村氏は、経営の大先輩である故・中條高德氏(アサヒビール名誉顧問、アサヒスーパードライを世に送り出すことで低迷していたアサヒビールを復活させた)から薫陶を受けていたそうで、その方から、「『お天道様は見てござる』、この言葉をよく覚えておくように・・・つまり慎独(しんどく)(注)、一人を慎むということです。いついかなる時も正しいこと、道から外れないこと、善行を続けなさい」との教えを受けていたとのことです。また木村氏は「人間は弱いものでどうしても他責にしてしまいがちですが、そうした姿勢をお天道様はきちんと見ておられる。怠惰に流されそうな自分をどう律するか。それはいまも私の課題であります」とも述べています。
更に、「お天道様は見てござる」をネットで検索してみました。「誰も見ていないから悪いことをしても分からないと思っても、お天道様はきちんと見ている」というニュアンスで使われることが多いようです。先日の選挙では、いわゆる「裏金議員」の当落が話題となりました。派閥からのキックバックで得たお金などを収支報告書に記載しなかったことついて、「どうせバレないだろうから・・・」「明るみに出たとしてもすぐに国民は忘れるだろう」という心理がその議員たちに働いたのではと邪推しています。しかしながら、某野党系メディアのスクープ記事になり、おおごとに発展してしまいました。その結果、これまでは盤石といわれていた、いわゆる「裏金議員」たちが相次いで落選するという事態になりました。
おかげさまで本日、当院は開業6周年を迎えました。「お天道様は見てござる」という言葉を心に刻みつつ、これからも「利他の心」をモットーに、地域医療に尽力してまいります。
【引用文献】
1) 「致知」2023年12月号 「お天道様は見てござる」 木村光伯
ダイジェスト記事はこちらで読むことができます。
https://www.chichi.co.jp/info/chichi/pickup_article/2023/202312_kimura/
(注)慎独:自分ひとりで、他人のいない所でも、身を慎むこと。また、常に自己の心中に注意して雑念の起こらないようにすること。(広辞苑第六版)