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164. まんがで学ぶ

[2021.06.25]

 現在、連続テレビ小説「おかえりモネ」が放映中です。気象をテーマにした物語で、昔から気象に関心のある私は、1話から毎日観ています。
 第5週で、主人公の百音(ももね)は気象の勉強を本格的に始めます。気象予報士の仕事にあこがれた百音は、書店で気象予報士試験の参考書を購入し、その本を読んで勉強していました。その百音の姿を見た、医師の菅波は次のように助言します。「この本はハードルが高すぎる。まんがや絵本から始めたほうがいい」と。百音は、お天気の絵本を買って勉強を始めたのでした。
 実は私も約16年前に気象予報士試験に挑戦したことがあります。試験勉強を始めるにあたり、まず読んだ本は、まさしくまんが本でした。学研まんが「天気100のひみつ」1)です。著名な気象予報士・森田正光さんが、ご自身の著書2)で、予報士試験の勉強ではまずはまんが本から読むべしとこちらの本を推奨していました。

 まんが本だからと馬鹿にしてはいけません。この本は、さまざまな気象現象についてまんがで分かりやすく解説されており、気象予報士試験で覚えるべきことの基礎の基礎が詰まっています。これを読んで気象についての一定の知識を身に着けたうえで、次のステップに移ったのを覚えています(ちなみにその次に読んだ本は、高校の地学の参考書でした)。
 ところで、当院の待合室にある本棚には、まんが本が並べてあります。その大部分は、統合失調症、双極性障害、うつ病、強迫性障害、パニック障害、アルコール依存症、ADHD(注意欠如多動症)などの当事者、あるいは当事者家族が描いた体験まんが(コミックエッセイ)です。まんがのメリットは、短時間で内容がスピーディに把握できるという点です。限られた待ち時間で患者さんが疾患について理解を深められるようにと、活字の本ではなく、まんがを揃えました。どの作品も、当事者(またはその家族)の体験をもとに描かれており、たいへんリアル感があります。疾患について学ぶのに有用で、秀逸な作品ばかりです。当院にお越しの皆様、ぜひともお読みください。

【文献】
1) 清水教高 監修,シュガー佐藤 漫画:学研まんが 天気100のひみつ.学習研究社,東京,1992.(おそらく現在は絶版と思われます)
2) 森田正光,大野治夫:なる本 気象予報士 改訂第4版.週刊住宅新聞社,東京,2003.

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