216. 「僕の大好きな妻!」を観て
先日、マンガ「僕の妻は発達障害」(214話)を基にしたドラマ、「僕の大好きな妻!」の放送が始まりました。放送時間が夜遅いため、夜に弱い私はリアルタイム視聴をせず、タイマー録画したうえで翌朝拝見しました。
登場人物は、原作と同一です。ただし、ストーリーはほぼドラマのオリジナルになっています。一番印象に残ったのは、原作と同じように、このドラマでも、主人公・知花の発達障害(神経発達症)の特性がとてもリアルに表現されている点です。まるで、発達障害の啓蒙ビデオを観ている感覚にもなりました。ドラマのスタッフの方々が、きちんと発達障害のことを研究されているな、ということを感じましたし、知花役の百田夏菜子さんの演技も秀逸であり、大変感銘を受けました。
ただ、この作品を観ていて、一つ心配になってしまった点がありました。それは、このドラマの視聴者が、知花の特性が発達障害の全てだという誤解をしてしまうのではという点です。実際には、発達障害は100人いれば100通りの特性があるとされていますが、それについてドラマできちんと触れておかないと(注:第1話で医師から説明を受ける場面で少しこのことが触れられていますが)、「自分は発達障害と診断されたのに、知花の特性とはちがう。よって、自分は誤診されたではないか」などと懸念する人も出てしまう恐れがあります。しかし、ドラマの最後(「つづく」の場面)で、きちんと注釈が掲載されていました。「発達障害の特性は一人一人異なり、ドラマで描かれるものが全てではありません」。これを観て、安心しました。ただし、この注釈は、エンディングテーマ→その後の長いCMのあとに掲載されるため、見逃してしまう人もいらっしゃるかもしれません。欲を言えば、ドラマの冒頭あるいはエンディングテーマの最後にこのメッセージを出してほしいと感じます。
次回の第2話では、知花が自らの特性のせいで、贈られたばかりの結婚指輪をなくしてしまうシーンが出てくるそうです。それに対し、夫の悟がいかにフォローするのか・・・?また、第1話で、焼き肉パーティの場で「焼肉にはご飯がないとダメ」とこぼし、ほかの登場人物が食事の準備をしている中、一人でスマホをいじっていた、河口(悟と同じ職場で働くアシスタント)の存在も気になるところです。今後の展開が楽しみです。
なお、本放送を見逃してしまった場合も、フジテレビの動画配信サービスFODなどで、無料で観ることができます(ただし冒頭や途中でCMが入ります。また期間限定です)。詳しくは、公式ウェブサイトをご覧ください。
・「僕の大好きな妻!」公式ウェブサイト
https://www.tokai-tv.com/bokutsuma/
(注)「発達障害」について、近年の精神医学では、アメリカ精神医学会の診断基準DSM-5に従い、「神経発達症」という用語が使われるようになりました。しかし、ドラマでは「発達障害」という用語が使われていることから、このページでも従来の用語である「発達障害」を用いました。
(注)この記事をお読みになった方からご指摘をいただき、注釈を書き加えました(2022/06/12)。