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26. 外相整えば内相自ずから熟す

[2018.11.09]

 おかげさまで、11月1日、当院での診療がスタートいたしました。

 HPやチラシなどに記載いたしました通り、当院は外来森田療法を実施する医療機関であり、森田療法に基づいた生活指導を行なっております。

 開業してからこの1週間で、診療の中で最も用いた森田療法ワードは「外相整えば内相自ずから熟す」だったかと思います。これは、気持ちはどうであれ、外見を整えることで、自然に気持ちも前向きに変化していく、という意味です。すなわち、健康的な生活をしていけば、こころも健康になれる、ということです。

 日曜日夕方の某国民的アニメを観終えて、「あぁ~明日から仕事だぁ~」と憂うつな気持ちになる方もいらっしゃると思います。実際「サザエさん症候群」という言葉があるくらいです(ちなみにこれは精神医学用語ではありません)。しかし、月曜日の朝、「いやだなぁ~」と思いながらも、スーツに着替えると、自然にシャキッとした気持ちになることを経験されるかと思います。

 逆に言うと、病人らしい生活を続けていけば、こころも徐々に萎えてしまうということにもなります。精神科で取り扱う疾患に、「病気不安症」(心気症)というものがあります。これは、些細な体の症状を気にして、「自分がもし重大な病気にかかっていたら・・・」と心配してしまうことから始まります。これがあまりにも気になり、医療機関を受診しても、どこも異常はないと言われます。しかし本人は納得いかず、あちこちの医療機関を巡ってしまいます。そして、日常生活でも病気のことが常に気になり、これまで楽しみにしていた趣味を放棄し、病人らしい生活を送ってしまう…それによりますます病気のことしか考えられなくなる、という悪循環になってしまいます。このようなケースには、ある程度薬物療法が役に立つ場合もありますが、生活指導も重要です。病気のことを心配することは自然なことであり、まったく悪いことではありません。ですので、その不安はそのままにしつつも、せめて生活は健康的なものにしていくよう指導いたします。「病人らしい生活ではなく、健康人らしい生活を送ってください」などとお伝えしております。

 ところで、日ごろの疲れを癒す場所として、温泉旅館があります。浴衣を着れば、自然にゆったりした気持ちになるものです。私もたまにはそこでのんびり過ごしてみたいなぁ、と思うこともあります。しかし今のところ当院の開業の直後で多忙な毎日です。残念ながら温泉旅館はしばらくお預けです(笑)。

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