304. さらば・・・当院のタンクレストイレ
先日当院職員から、当院1階トイレの水が止まらなくなっているとの報告を受けました。トラブルが生じたのは、当院の待合室に隣接しているトイレで、主に患者さんが利用されるものです。当院の建設の際に住宅メーカーの設計担当者に勧められ、タンクレスのタイプのものを設置していました。私がそのトイレを確認したところ、確かに便器内で水がずっと流れていて止まらなくなっており、水の元栓を閉めるとようやく止まる状況でした。この事象は以前にもありました。ただその際はこのようなトラブルの頻度はそんなにも多くなかったため、経過観察としていました。しかし今回はさすがに専門の方に見てもらったほうがよいものと思い、地元の水道屋さんに来ていただくことにしました。その方のお話によると、これはタンクレストイレ特有のトラブルで、水圧が十分でないと便器内の水を引き込むことができず、ずっと水が流れっぱなしになってしまうと。これについては処置のしようがなく、根本的に解決する手段としては、タンクのあるタイプのトイレに取り換えるしかないだろう、とのことでした。ただ、このトイレは使用開始から5年程度しか経過しておらず、しかも通常通り作動することもあったことから、取り換えにはかなりの抵抗感がありました。しかしその後も何度か同様のトラブルが発生し、しかもたちが悪いことに、便器内の汚物が流れないとの苦情も頂くようになりました。このままでは患者さんにご不便をおかけすることになると考え、熟慮の末、タンクありのトイレに取り換えることにしました。工事は、先日来ていただいた水道屋さんにお願いしました。この前の休診日に工事が行われ、例のタンクレストイレが撤去され、そこに新たにタンクのついたトイレが設置されました。
【before】撤去されたタンクレストイレ
【after】新しく設置されたタンク付きのトイレ
「100年クリーン」と謳われていたトイレ(開業前の番外編参照)がまさか5年余りで交換になるとは思ってもいませんでした。先日の通り、当院を建てる際に、住宅メーカーの担当者から「患者さんが使われるトイレですのでスタイリッシュにタンクレスにしましょう」と勧められ、それを私があまり吟味せず、このタイプのトイレに即決してしまいました。ネット情報によると、タンクレストイレはデザインがよく、スペースを確保せずに済む、掃除がしやすい、水道代の節約になるというメリットがある一方で、水圧が低いと水が流れず当院で発生したようなトラブルが生じうること、停電や断水になると使えないこと、一部分が故障するだけでも便器全体の取り換えが必要になることなどの欠点があるそうです。ネット上には、タンクレスを導入したものの、水圧の問題で使いものにならなかったとの怒りの声もありました。この記事をお読みになった皆様が、今後新築やリフォーム等をされることになった際に、業者からタンクレストイレを勧められることもあるかと思います。しかし、タンクレストイレは高価であり、しかも上記のようなデメリットもあります。このため、業者の言葉を安易にうのみにせず、メリットやデメリットを十分に勘案したうえで、慎重にトイレのタイプを判断された方が良いものと助言いたします。