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32. 「車の運転が怖い!」

[2018.12.21]

 たかはし志貴先生の新刊コミックエッセイ「バセドウ病が原因でした。 おまけに強迫性障害も!」を拝読いたしました。この書籍は「バセドウ病編」と「強迫性障害編」の2部構成になっています。前半の「バセドウ病編」は著者がバセドウ病(甲状腺ホルモンが過剰に産生される疾患)と診断されてからの生活上の苦悩が描かれており、ややシリアスな内容です。甲状腺疾患の専門医による分かりやすい解説コーナーもあります。一方、後半の「強迫性障害編」は、強迫性障害やさまざまな恐怖に基づく著者のエピソードが面白おかしく(?)描写されています。
 その本の「強迫性障害編」の中で、「乗用車の運転が怖い」というエピソードが紹介されていました。教習所の路上講習で、著者は「もし人が飛び出したら」という不安にとらわれ、一時停止線のない道路で急停止してしまい、教官から厳重に注意されてしまいます。確かに、停止すれば人をひかずに済むかもしれませんが、逆に後ろから追突されるリスクが激増し、かえって危険な運転になってしまいます。
 ただ、「人をひいてしまったらどうしよう!」という不安は、まったく病的なものではなく、むしろ健全な感情であるといえます。むしろ、法定速度をはるかに超えるスピードで運転し、あおり運転を繰り返す連中こそ、このような不安や恐怖をしっかり持つべきではないかと思っております。
 なお、その著者は無事に運転免許を取得できたのですが、上記の恐怖から、車の運転を避けるようになってしまいます。そのあともクスッと笑える(?)お話があるのですが、それは書籍を購入したうえでご確認ください(当院待合室の本棚にも1冊おいてあります)

 実は、私もたかはし先生と同じ理由で車の運転を回避し続けた一人です。大学3年のときに運転免許を取得したものの、「もし車で人をひいてしまったら、医師免許が取得できなくなるのでは、医療活動ができなくなるのでは」という恐れから、一切車の運転を避けるようになりました。医師になった後も、乗用車を購入することはなく、移動手段は自転車やバスでした。生活は多少不便なこともありましたが、山形県にいた頃はバスがそれなりに充実しており、何とか生活は成り立っていました。ただ、真冬の猛吹雪や豪雪の時期は、バスのダイヤが大幅に遅れるためあてにならず、徒歩で1時間かけて勤務先の病院まで通ったのを覚えています。
 しかし、栃木県那須地域に転居してからは、状況が一転しました。この地域ではバスの本数が極端に少ないのです。買い物へ行くにも、自宅からお店まである程度距離があり、自転車では不便です。結局、生活に行き詰り感を覚えた私は、車を買うことを決意しました。いわゆる「恐怖突入」です。
 まずは、ペーパードライバー歴14年であまりにもブランクが長かったため、自動車学校のペーパードライバー講習に数回通いました。そして、いよいよ車を購入。ちょうど某S社の「ぶつからないクルマ」が普及してきた時期で、この車だったら何とかなると思い、納車いたしました。購入直後はおっかなびっくりの運転で、法定速度60km/hの道路では恐怖感を覚えました。しかし、運転を続けることで次第に慣れてきました。
 そのうち、ドライブが楽しくなってきました。休日には遠方へドライブへ行くようになりました(青森市や石川県輪島市、滋賀県彦根市まで行ったこともあります)。
 7月の「森田正馬先生没後80年」の際は、那須から高知まで車で伺いました。途中、瀬戸大橋、明石海峡大橋を渡るときは実に感動しました。
 なお、初めて買った車は現在も使用しています。総距離は10万キロを突破しました。これからも安全運転に努め、ドライブを楽しみたいです。

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