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36. 笑いと健康 後篇

[2019.01.18]

 「生きがい療法」は、すばるクリニック(岡山県倉敷市)の伊丹仁朗先生が提唱された療法で、がん治療に森田療法を応用したものです。
 がんになると誰でも死の恐怖や不安に陥るものです。森田療法では、恐怖や不安は「生の欲望」との裏返しであり、コントロールできないものとされています。よって、恐怖などはそのままにしつつ、目の前の必要なことをやっていきましょう、これが原則です。

 この「生きがい療法」で特に有名なのは、がん患者さんたちが、ヨーロッパ大陸の最高峰モンブラン(標高4807m)を登山したというお話です。これまで引きこもりがちだった80代のがん患者さんがモンブラン登山をしたところ、すっかり元気になり、その後もがんと共存しながら生活を続けたという話もあります。森田ワードの「外相整えば内相自ずから熟す」に相当するのだと思います。

 なお、「生きがい療法」について詳しくは公式ページをご覧いただくことにして、今回は笑いについての話題にクローズアップいたします。

 「生きがい療法」の実践法の中に、「笑わせ療法」があります。これについて、伊丹先生のご著書によると、

 最近の身の回りの出来事をもとに面白い小話をまとめたり、滑稽な写真を撮ったり、面白いグッズを集めて、それをネタに家族や友人を笑わせ、一緒に笑う方法である。

 笑うことで、がん細胞を退治するキラー細胞が強くなることは、前項で述べた通りです。なお、生きがい療法のメンバーで大阪のグランド花月へ行かれたというお話もあります。

 

 上記の「笑わせ療法」は、特にがん患者さんに限らず、我々の健康増進に役に立つものではないかと思います。現代ではインターネットが発達した時代ですから、ツイッターやインスタグラムなどを用いて笑わせるような投稿をするのも面白いかもしれません。

 以上、クスリと笑えば「薬」になる、というお話でした。

 

【引用文献】

・昇幹夫著「笑って長生き 笑いと長寿の健康科学」大月書店

・伊丹仁朗著「絶対あきらめないガン治療・30の可能性」三五館

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