126. 新しい「学会」様式!?
9月29日、第116回日本精神神経学会学術総会で森田療法に関する症例報告をいたしました。
本来、この学会は6月に仙台市で開催予定でしたけれども新型コロナの影響で9月に延期。しかしそれでもコロナの収束の見通しが立たないことから、仙台市の会場での開催は断念、WEB配信での開催となりました。毎回学会には1万人くらいの先生方が参加されます。万一学会会場で集団感染を起こしたら大変なことになりますので、会場開催を取りやめたことは妥当な判断だったと思います。
通常の学会発表では、演者は壇上で、スクリーンに映し出されたスライドにそって発表し、その後質疑応答でフロアの先生方や座長の先生からの質問に答える、という流れです。しかし今回のWEB配信の学会では、発表の部分は予め作成したスライドの動画が放映され、質疑応答の時間のみ演者がWEBで生出演するという方式になりました。なお、幸いなことに私の発表の時間が当院の昼休み時間帯だったことから、発表日当日は診療時間を大きく変更することはせず、ほぼ通常通り診療をいたしました。
当日、発表時刻の約1時間前。メールで送られてきたリンクをクリックし、「直前チェックルーム」に入室。パソコンのスクリーンには学会スタッフの方の他、座長の先生や同じセッションで発表される先生方が映し出されていました。学会スタッフの方から、ZOOMの操作方法や諸注意について説明がありました。フロアの先生方からの質問が、Q&Aのチャットに表示されるので、それを見てほしいとのことでした。
そして発表時間。まずは1番目の先生のご発表を拝聴し、いよいよ私の番。7月に作成し事務局に提出した発表スライド動画(116話参照)が再生されます。そして質疑応答。座長の先生からのご質問に、冷や汗をかきながらお答えいたしました(慣れない環境での発表だったため、妙に緊張してあがってしまい、ご質問に適切にお答えできず、申し訳ございません・・・)。参加された先生方は30人程度と表示されていました。私の発表がきっかけで、少しでも森田療法にご興味を持たれる先生がいらっしゃれば、という思いです。
なお、今回の学会は28~30日の3日間開催されました。その間、様々な先生方のご発表やご講演がWEBでライブ配信されましたけれども、私は診療などで忙殺され、まったく見ることができませんでした。ただ、今回はオンデマンド配信が10月31日まであります。3日間の学会期間終了後も、10月31日までであれば、ご発表やご講演がパソコンでいつでも観られるというものです。通常の学会では、拝聴したいご発表があっても、部屋が満席で断念してしまうこともよくあります。しかも拝聴したい2つのご発表がたまたま同じ時間でダブってしまい、どちらかをあきらめざるを得ないこともあります。ただ、オンデマンドであれば、時間さえあれば拝聴したいご発表・ご講演をいつでも観ることができます。会場が満席で拝聴できないということもありません。なにしろ、通常の診療をお休みにすることなく学会に参加できるのが、WEBの最大のメリットと感じます。
しかしながら、WEB配信にはデメリットもあります。実際オンデマンドでご発表を視聴したところ、学会独特の緊張感がなく、なんだか勉強した気になれないような印象がしました。しかも、WEB開催では通常の学会のように、遠方にいらっしゃる先生方に久々にお会いできるチャンスもありません。学会会場の都市で名物を味わう楽しみもありません(仙台での会場開催が予定通り行われた暁には、名物の牛タンを食べようと思っておりましたので、とても残念です)。
とはいえ、WEBでのメリットが大きいことから、コロナ禍が収束した後も、WEBでの学会の開催は残るでしょう。そして、大きな学会は、会場開催にWEBを併用した「ハイブリッド」の様式が今後主流になるのでは、と私は予想しております。
【日本精神神経学会会員の先生方へお知らせ】
私の発表動画が、学術総会HPにてオンデマンドで配信されています。
森田療法に関する症例報告です。ぜひご覧ください。
9月29日 H会場 一般演題(口演)23
プログラム番号:2-O23-2
*今回の日本精神神経学会学術総会に参加申し込みをされた先生方のみ視聴できます。