279. 旅先の蕎麦屋さん
数年前(コロナ禍前のお話です)、N県U市をドライブしていた際に、とあるお蕎麦屋さんに寄りました。このお店への来訪は2回目。かつてこの地を旅していたときに、たまたまこのお店を見つけ、そこで食べたお蕎麦がとても美味しかったのを思い出し、再来訪することにしたのです。
このお店に開店時間前に到着してしまいました。時間つぶしに、スマホでこのお店についての情報を確認しました。すると、「店主の態度が悪い」などのたくさん悪評を見つけました。特にこの店主さんは大の子供嫌いらしく、「子供連れで訪れたら、門前払いされた」という書き込みもありました。確かに、前回の来訪で、店主さんのキャラクターがかなり独特だったことを思い出しました。このまま入って大丈夫かと心配になりましたけれども、開店時間が近づいたので、お店へ。入り口には、「小さなお子様や騒がしい子供の入店はお断りします」と明記されていました。入店すると、怖そうな店主さんが出てきました。怒られたら嫌だなとおっかなびっくりで席につきました。このお店の看板メニューを注文。お蕎麦は前回同様に美味しくいただけました。また、蕎麦湯はとても濃厚な味で、これまで味わってきた蕎麦湯の中では一番美味しいのではないかと感じました。食事中、例の店主さんが私のところにやってきました。そして、「お味はどうでしたか?」と訊いてきました。私は「とても美味しかったです!蕎麦湯もとても濃厚で・・」と答えると、店主さんは「ありがとう!」と嬉しそうに声をかけてくれました。店内はとても静かで、窓から外を眺めると、野鳥が飛んできました。別のお客さんに対し、その店主さんが野鳥について解説していました。その店主さんは、外見上は怖い印象ですけれども、実際にはとても素直な方なんだなと感じました。自分の自慢の蕎麦を、静かな環境で味わってほしい!という店主さんの強い思いがあるのではないか、だからこそ騒がしいお子さんの入店を厳しく制限しているのだと推測いたしました。
確かに、接客態度は良いに越したことはないけれども、小さいお店に対して、ホテル並みの接客を要求するのはとても無理のある話です。とにかく、接客の良し悪しよりも自慢の料理が美味しければそれでよいのではないか、と私は感じております。
なお、コロナ禍の時期に、県外からの観光客がこのお店に入ろうとしたら、門前払いされたとのネット情報がありました。しかし最近では、新型コロナが5類に移行したこともあり、柔軟に対応するようになったとの話もあります。私もタイミングを見て、そのお店にまた行ってみたいと思っております。