327. 「ペイシャントハラスメントに対する方針」の策定
最近、報道などで、「カスタマーハラスメント」(カスハラ)について耳にすることが多くなってきました。また、那須塩原市内のとある温泉旅館でもカスハラ対策を行なっていることを地元テレビのニュースで視聴したこともあります。
当院でも、カスハラの医療機関版である「ペイシャントハラスメント」(ペイハラ)の対策を行なっております。その目的は、我々や他の患者さんに対する「安心・安全」のためです。患者さん等からの暴言、暴力、執拗な言動、性的な言動などのハラスメント行為により、従業員等の心身の健康を害する恐れが十分にあります。実際にハラスメント被害を受けた従業員等が休職を余儀なくされることも珍しくないといわれます。それだけでなく、周囲の患者さんの治療環境を大きく悪化させることにもなります。当院は、このようなペイハラ行為を断じて許すことはできません。
数年前に当院では、このような掲示を始めました。
それと同時に、ペイハラ対策マニュアルを作成しました。ありがたいことに、当院にいらっしゃる患者さんの大多数がマナーを遵守してくださっていることもあり、これまでに(2024/07/05現在)、この掲示に該当するような、患者さんの暴言・暴力・迷惑行為などで警察に通報したケースは一度もありません。これは、当院が那須塩原警察署に極めて近い(直線距離で約100メートル)ことも関係しているかもしれません。しかしながら、この掲示に該当するような完全にブラックな行為よりも、警察に通報するまでもない、グレーゾーンのハラスメント行為で、当院が困惑する方がはるかに多いことに気づきました。私も、患者さんや同伴者から執拗で攻撃的な言動などのハラスメントを受けた影響で、体調を崩したことが何度かありますし、職員から被害の報告を受けることもあります。そんな中、大手鉄道会社や市内の温泉旅館でカスハラ対策が行われていることを知り、上記で述べた「グレーゾーン」な行為に対しても、毅然とした対応をすることがあることを周知する必要があると感じ、このたび「当院におけるペイシャントハラスメントに対する方針」を作成いたしました。
この「方針」は、厚生労働省「カスタマーハラスメント対策企業マニュアル」1)、関連書籍2)や大手企業やとある旅館のカスハラ方針を参考にし、更には弁護士の先生方からご意見を頂戴した上で策定したものです。この方針は、当院ホームページで公開しており(コチラ)、更にはダイジェスト版を当院玄関に掲示しております。
もちろん、当院の至らない点などについては、謙虚に受け止め、改善するように努めてまいります。
これからも当院は、さらなる「『安心・安全』な医療機関」を目指し、常に上質な「こころの医療」を提供できるよう精進いたします。
1) https://www.mhlw.go.jp/content/11900000/000915233.pdf
2) 福﨑博孝:医療事故・ペイシャントハラスメント 紛争予防・解決の実践的手法.日本法令,東京,2023.