138. ポンコツでもいい、たくましく育ってほしい
117話にて、漫画作品「ポンコツちゃん検証中」について述べました。この作品は、漫画家・福地翼先生によるギャグ系ラブコメです。この漫画にハマった私は、もちろん最新刊の6巻まで読み進めました。年明けの1月には7巻が発売予定とのことで、とても楽しみにしています。
あらすじは117話にて書きましたけれども、ここでも簡単に触れておきます。「ポンコツちゃん」こと夢咲舞落(ゆめさき ひらり)は突然神様から日替わりで「能力」が与えられます。一度でいいので誰かに頼られたい水戸要(みと かなめ)は夢咲さんの能力検証のお手伝いをすることになります。1年後、地球に隕石が落下すると神様から予告されたふたりは、それを阻止するために夢咲さんの日替わり能力を検証していく、という内容です。おっちょこちょいすぎて「ポンコツ」娘の夢咲さんを、しっかり者の水戸くんがサポートしていく展開です。
そのふたりの関係が気になるところで、単行本5巻にて新たなキャラクターが登場します。雨坂凛(あめさか りん)です。もう一人の「ポンコツちゃん」と言える人物です。目つきが悪く、しかも相手に対し怖い口調で「指摘」してしまう癖(内心は相手を思いやっているつもりではありますが)を持っています。それゆえ周囲から恐れられてしまっています。雨坂さんは友達が全くできず悩んでいました。そんな中水戸くんが美化委員に推薦され、美化委員長の雨坂さんと花壇の水やりの活動をすることになりました。雨坂さんは水戸くんにあれこれ指摘をしてしまい、その指摘癖に自己嫌悪。「やっぱり私はポンコツだ」と落ち込んでしまいます。それについて水戸くんが次のようにフォローします。「今時、他人の間違いを指摘してくれる奴なんてそうはいない。誰だって嫌われたくないから。(中略)本当にその人を思うのなら・・・指摘してやるべきなのに。雨坂さんは誰よりも人のために動ける人だ。自分を犠牲にしても他人を思いやれる人だ。本当に『優しい人』っていうのは、雨坂さんみたいな人のことを言うんだ」1)。雨坂さんの「指摘癖」は一見するとマイナスに見えますけれども、見方を変えればプラスになれるということです。これは、森田療法のいう「両面観」(71話、72話)ではと勝手に思っています。
一方、夢咲さんは天然系で、いわゆる「ドジっ娘」の属性を持っています。ストーリーではいつものごとくおっちょこちょいでドジの連発で、「ポンコツ」ぶりを発揮します。しかし、裏表が全くなく純粋な性格であり、周囲からは親しまれています(雨坂さんのあこがれの存在でもあります)。しかも最後まであきらめない性格も有します。
ふたりの「ポンコツちゃん」とも、水戸くんにサポートされながら、性格のプラスの面を活かして大いに成長していくのではないかと、一読者の私は思っております。なお、5巻以降は水戸くん、夢咲さん、雨坂さんの三角関係になります。ますますその後の展開が楽しみです。
今年も当ブログをお読みいただき、誠にありがとうございます。今年は新型コロナに翻弄され、とても大変な1年となりました。新しい年はどうか少しでも平穏な世の中になりますように。
【引用文献】
1) 福地翼:ポンコツちゃん検証中(5).小学館,東京,2020.