221. コミュニケーションサポートシステムの導入
先日、当院の診察室に、コミュニケーションサポートシステムを導入いたしました。これは、簡単に言えば、音の解像度を上げることで、喋る人の声を聞きやすくする装置です。
スピーカー。単に声の音を大きくするのではなく、声の解像度を上げてクリアに聞こえるようにしてくれるのが特徴。
これは患者さんの目の前に設置しています。
私が装着しているワイヤレスの装置とピンマイク。
昨今のコロナ禍のため、感染対策として、診察室にアクリル板を設置しておりました(118話)。その影響のためか、医師である私の声がアクリル板で遮られて届きにくくなったようであり、患者さんから「は?」などと聞き返される機会が増えました。私はもともと診察ではイントネーションを低めにして話す傾向にあり、時々声がつぶれるように話す癖が出てしまうのも要因かと思っております。対話が重視される精神科の診療において、医師の声が聴き取りにくいというのは診療上重大な問題だと感じていたため、何とかして声を大きく出すよう努めました。しかしつぶれるような声の癖は簡単には矯正できませんでした。いっそのことアクリル板を撤去することも考えましたけれども、それではコロナ対策がおろそかになってしまいます。宝くじ売り場などで見かける、マイクとスピーカーを設置する考えもありましたが、そうすると私の声が診察室の外に漏れるリスクがあります。どのようにすれば私の声が患者さんに届きやすくなるか解決法が見つからず、非常に悩んでしまいました。
そのような状況の中、ネット検索をしていたところ、たまたまコミュニケーションサポートシステムのウェブサイトに行きつきました。精神科クリニックを開業されている先生がこの装置について高い評価をされている記事でした。「このような装置があるのか・・・これはもしかすると『声が届きにくい問題』が解消するかもしれない」と感じ、まずは詳細を知りたくて資料請求しました。熟慮の結果、この装置を1週間お試しでお借りすることにしました。手続きし、メーカーの方とのリモート面談があったのちに、すぐさまテスト機が届きました。早速診察室で使用開始しました。なんと、「は?」などと聞き返される回数が激減したのです。アクリル板があっても、私のつぶれた声でもきちんと患者さんの耳に届くようになったようです。これまでは聞き返された場合に、アクセルを思いっきり踏むように大きな声を出して喋っていたため、非常に負担になっていました。しかしこの装置を使うことで、負担が減りました。特に、耳の聞こえにくいご高齢の患者さんに対する診察がスムーズになったのは驚きました。一部の患者さんから、「声がクリアに聞こえてよい」とのご評価を頂きました。この装置、決して値段は安くありませんけれども、患者さんにとってプラスになればと思い、購入を決めました。
なお、現在待合室にはこの装置に関する案内を掲示しております。もし気になったことがありましたら、お気軽に医師(私)あるいは職員にお申し出ください。
【2022/07/30つけたし】
この装置(商品名「コミューン」)のメーカーである、ユニバーサル・サウンドデザイン様のホームページにて、このブログ記事について掲載いただきました。
誠にありがとうございます。
詳しくはコチラ。