154. 「再発・転移・手術不能ガンも根治をめざす」
【お断り】こちらのページは、伊丹仁朗先生らのご著書に対する書評の記事です。本ページに記載されている治療法は、当院では一切行なっておりませんので、ご了承ください。
岡山県倉敷市の「すばるクリニック」で「手を尽くしたガン治療」の実践に勤しまれている伊丹仁朗先生(36話、40話、41話)が最近新しいご著書を出版され、先日私も献本を頂戴いたしました。タイトルは「再発・転移・手術不能のガンも根治をめざす」1)。共著者は、札幌市・大通公園メンタルクリニックの山田秀世先生(82話)です。伊丹先生のガン克服メソッドのお話は、一昨年の「心の健康セミナーin広島」(40話、41話)などのご講演を拝聴しとても関心のあるテーマでしたので、一気に読破いたしました。
冒頭で伊丹先生らは、「日本のガン治療は『キセル型』だ」と批判されています。キセルは、細長い竹筒の両端に短い金属がはめこまれています。キセルの先・葉を詰める金属部分「雁首」を「ガンの初期治療」とすると、もう一方の端・吸い口部分が「ガンの終末医療」。初期治療では手術、放射線、化学療法など集中的な治療が行われますが、その後は多くの場合、再発予防のための治療は行わず、経過観察が中心となっているのが現状です。その間再発してしまい、しまいには終末医療(緩和医療、ホスピス)の対象になってしまうケースもあります。キセルの雁首と吸い口の金属が輝いていて、その間をつなぐ竹筒が細長く「がらんどう」になってしまっている。そのキセルの竹筒の時期に再発予防の治療をしっかりやれば、再発したり終末医療に至ったりすることが大幅に減るのではと伊丹先生らは述べられています。
本編では、ガン克服に有効とされるメソッド(ガン再発のリスクを高めてしまう食材、薬剤等含む)が具体的に紹介されています。単元の最初に、ホームズ先生と助手のワトソン君が登場し、対話形式で概要を紹介。ホームズ先生が伊丹先生、ワトソン君が山田先生の分身のようです。それから、「ホームズノート」で具体的に解説がされています。いずれも科学的根拠となるデータも盛り込まれており、とても説得力のある内容となっています。
以下に一例を示します。
・「NK(ナチュラル・キラー)細胞」の活性が強いほどガンの治療効果が高いとされている。NK細胞活性のためのメソッド:湯たんぽ療法、41度のお風呂に15分つかる、など。
・済陽(わたよう)式食事療法。限りなく無塩に近い塩分制限。多量の野菜ジュース、海藻、キノコ類などの摂取の推奨。
・牛・豚など四足の肉類は禁止。乳製品は禁忌(酪農の盛んな那須塩原市にとっては耳の痛い内容です・・・)。
・クエン酸や重曹が末期ガンに有効。
・わが国ではあまり行われていない、温熱療法、丸山ワクチン、超高濃度ビタミンC点滴療法の有効性。
もちろん、森田療法をベースとした「生きがい療法」(36話、41話)も紹介されています。笑うことでNK細胞の活性が高まるとされ、また15分間閉眼リラックスして熱帯魚がガンを食い尽くす様子を思い浮かべる「イメージトレーニング」もNK活性を高めたとする研究もあります(注)。
なお伊丹先生らは、ご著書で現代のガンの標準治療について次のように批判されています。
・ガン治療には物理学的側面(手術・放射線・抗ガン剤)、免疫学的側面、先進的側面、心理学的側面、人道的側面の5側面が必要だが、標準治療では物理的診療だけしかなく、他の側面は全く無視されている。
・これらの根底には、「根治できない患者の治療に手を尽くして延命しても意味がない」という人命軽視の発想がある。
・その結果、医師から根治不能と匙を投げられ、路頭に迷う、いわゆる「ガン難民」と呼ばれる人々が激増している。
伊丹先生らのご著書には、「ガン難民」にならないための術が紹介されています。しかも安価で比較的簡単な方法ばかりです。実際にこれらの組み合わせを進行ガンの方々が試したところ、その多くの方々が予想をはるかに超えて元気で長生きされているとのことです。なお、40話でご紹介した皿海さんも、通常なら予後が著しく悪いとされる「腹膜播種したスキルス胃がん」を「生きがい療法」などで克服された一人です。
ガンと診断されてしまった方々、ご家族が末期ガンで医師から匙を投げられそうになりお困りの方々、とにかくガンにならないため日ごろの健康増進に努めたい方々など様々な方にこちらのご著書をお勧めいたします。
(注)伊丹先生のご著書「ガン治癒力を高める心理療法 精神腫瘍学的治療法」2)には、イメージトレーニングのCDが添付されています。
【文献】
1) 伊丹仁朗,山田秀世:再発・転移・手術不能ガンも根治を目指す.海鳥社,福岡,2021.
2) 伊丹仁朗,筒井昭子:ガン治癒力を高める心理療法 精神腫瘍学的治療法.星和書店,東京,2020.