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37. ベンゾジアゼピン系薬のリスク 前篇

[2019.01.25]

 ベンゾジアゼピン系の薬剤には、睡眠薬と抗不安薬があり、(殊に)我が国ではよく用いられている薬剤です。以下に薬剤の一覧を示します。

【ベンゾジアゼピン系薬剤の一例】 カッコ内は主な商品名です。

(ベンゾジアゼピン系睡眠薬)

トリアゾラム(ハルシオン)、ブロチゾラム(レンドルミン)、フルニトラゼパム(サイレース、ロヒプノール)、ロルメタゼパム(エバミール、ロラメット)、エスタゾラム(ユーロジン)、ニトラゼパム(ベンザリン、ネルボン)、クアゼパム(ドラール)

(ベンゾジアゼピン系抗不安薬)

セルシン(ジアゼパム)、エチゾラム(デパス)、ロラゼパム(ワイパックス)、アルプラゾラム(ソラナックス、コンスタン)、クロチアゼパム(リーゼ)、ロフラゼプ酸エチル(メイラックス)

 別名「マイナートランキライザー」とも言われ、精神科や心療内科のみならず、他の診療科でもこれらの薬剤が処方される傾向にあります。特に、「デパス」(一般名:エチゾラム)はその王道で、不安や不眠に対して出されるのはもちろんのこと、高血圧、動悸、肩こりや腰痛に対し処方されることもあります。

  ベンゾジアゼピン系薬のメリットは、なんといっても切れ味のよさ(即効性)です。服用すればすぐに気持ちがほぐれたり、眠りやすくなったりすることが期待できます。

 しかし、これらの薬剤がしばしば処方される国は日本くらいだという話をよく聞きます。海外では、できるだけ短期間にとどめるよう推奨・規制されており、一部の国では1-2週までに規制されているとのことです。一方、わが国では1回につき30日の処方日数制限があるものの、エンドレスで処方可能です。

 なぜ海外ではこの薬剤の処方日数が厳しく規制されているのでしょうか?それは、見逃すことのできないリスクがあるからです。具体的には以下の通りです。

  • 依存性、耐性、離脱
  • 健忘、奇異反応、せん妄、脱抑制
  • ふらつき、転倒

 当院では開院以来、ベンゾジアゼピン系薬剤の処方は極めて慎重にしております。上記のリスクがあるからです。殊に「依存性」は深刻な問題になりえます。この薬剤を一定期間服用し続けてしまうと、なかなかやめにくくなってしまう恐れがあります。

 次回、ベンゾジアゼピン系薬のリスクについて詳しく説明いたします。

 

【引用文献】 

小田陽彦「診療情報改定における向精神薬(抗不安薬・睡眠薬)処方の在り方」
安楽勇太、稲田健「うつ病におけるベンゾジアゼピン系薬の選択と用い方」
いずれも、うつ病治療の新たなストラテジー Vol.8 No.2 先端医学社より

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