403. 夢洲へ
この前の日曜日、依存症のシンポジウムに参加するため、大阪へ行きました。
新大阪駅には10時ごろ到着。シンポジウムの開始が13:30であり時間があったため、10月まで万博が開催されていた夢洲(ゆめしま)へ行くことにしました。
地下鉄を乗り継いで夢洲に到着。
広々とした駅のコンコースには数人しかいませんでした(ちなみに上の写真では「数人」どころか誰もいません・・・)。万博開催中はかなり混雑していたのだろうなぁと思うと、寂しい気分です。
駅の外に出ると、目の前には仕切りが設けられていました。その先は万博跡地。関係者以外立入禁止となっていました。
すでに万博の建物の取り壊し工事が進んでいるようで、夢洲駅付近からもその様子を見ることができました。
一方で新たな建物の建設工事が始まっていました。大阪IR(統合型リゾート)です。
IRとは、国際会議場や展示施設、ホテル、商業施設、レストラン、劇場、映画館などと一体になった複合観光集客施設のことです。しかしその目玉はカジノです。IRを設立するにあたり、これまでわが国では禁止されていたカジノが合法化される法律が施行されました。
大阪府や大阪市は、大阪IRが開業されることにより、経済効果や雇用創出など、大阪の更なる成長が期待できると謳っています。
しかしその一方で、負の側面も指摘されています。まずは治安が悪化するのではという意見です。
それに、カジノが解禁されるにあたり、ギャンブル依存症(正式な精神医学用語では「ギャンブル行動症」)が増加するのではと懸念する声が上がりました。その声を受け、国は「ギャンブル等依存症対策基本法」を施行したという経緯があります。また、大阪ではギャンブル依存症対策として、「大阪依存症センター」(仮称)の設置をすることが決まっており、カジノでは、1回6000円の入場料を課し、7日で3回、28日で10回の入場制限を設けるなど、海外に比べると厳しい規制がされるそうです。
とはいえ、入場料6000円を取り戻すためにギャンブル行動に拍車がかかるのではとか、7日で3回などの制限を設けても十分に依存症のリスクがあるという指摘があります。また、IRの建設は進んでいるのに、大阪の依存症対策はいまだ遅れているという声も上がっています。
ギャンブル依存症はれっきとした脳の病気であり、誰でも罹患しうる病気です。決して意志の弱さで起こるものではありませんし、「自己責任」で片づけてしまうのは大間違いです。ギャンブル依存症はうつ病との合併も決してまれではなく、不幸にも自ら命を絶ってしまうケースも少なくありません。これからも私は「IR」について注視していくとともに、「依存症予防教育アドバイザー」(388話)として、ギャンブル依存症の正しい知識を啓蒙していかなくてはと、IRの工事現場を見て感じたのでした。
