396. ご注文はうさぎですか?
勤務医時代である約10年前、様々な事情により非常に気落ちした時期がありました。そんな中、癒しになったのが漫画やアニメでした。様々な作品の中で特に「ハマった」のは、「ご注文はうさぎですか?」(以下「ごちうさ」)でした。
「ごちうさ」は、Koi先生による漫画・アニメ作品です。主人公ココアをはじめ、喫茶店「ラビットハウス」で働く一人娘のチノ、バイト仲間である先輩リゼ、ココアの同級生の千夜、リゼの後輩シャロ、チノの同級生のマヤやメグなどの少女たちが登場し、彼女らの日常生活をゆるやかに描いています。これまで3期テレビアニメ化され、その他オリジナルアニメが映画化などされました。また今年、新作アニメの制作が決定したという情報がありました。連載されてから10年以上経ちながらも人気が続いている作品です。
私はこの作品に「どっぷり」ハマってしまい、原作の単行本やアニメのブルーレイを購入してきたほか、キャラソングCDを買い集めカーオーディオにダウンロードし、ドライブの際に何度もリピートして聴いていました。パシフィコ横浜で開催されたイベントにも参加し、出演声優さんのステージを満喫いたしました。
横浜の「ごちうさ」のイベント会場で購入した、パンフレット。
更には、勤務先の病院での当直の際に、誰もいない医局で、「ごちうさ」のオープニングテーマ「Daydream café」(「こころぴょんぴょん~♪」で始まる中毒性の高い曲)を大音量で流したこともありました(幸い誰にも見つからなくてよかったです)。
このように、オタク的な活動をしていくうちに徐々にエネルギーを蓄えていった私は、医院開業を考えるようになりました。精神科医療の考え方について、当時勤務していた病院のトップとはかなりの食い違いがあり、大変苦しい思いをしていたことから、自分の思い描いた医療を実践するためには、独立して医院を開いたほうがいいだろうと思うようになったのです。とはいえ、開業医になると患者さんへの診療のみならず、経営や人事の方面などやらなければならないことがたくさんあります。私にはこのような重責のある仕事はできるのだろうか、また、そもそもこの医院開業が自分の私利私欲のためだけに過ぎないのか、地域のための善となる活動なのか、約2年間悩みました。悩みぬいた結果、精神科の医療機関が少ないこの那須地区で「身近な」精神科医院を設立し、少しでも地域に役に立てればという気持ちが強まり、医院開業を決意いたしました。
当院開業にあたり、「ごちうさ」を意識した部分があります。当院の名称「那須こころの医院」の「こころ」の部分は、もちろんメンタルクリニックの名称ではありがちなキーフレーズですが、「ごちうさ」のオープニングテーマ「Daydream café」の出だし部分「こころぴょんぴょん」も由来となっております。また当院のロゴは、構想段階では「うさぎ」を考えていました。しかし、近隣のクリニックですでにうさぎのロゴが使われており、先輩の開業医の先生に対し失礼に値すると考え、断念しました。その代わり、那須のシンボルともされる癒し系の動物「アルパカ」を採用しました。更には、開業日は平成30(2018)年の11月11日を考えていました。11月11日は、「ごちうさ」で制定されている「ぴょんぴょんの日」に当たり、かつてはこの日に「ごちうさ」の関連イベントが開催されていました。しかしあいにく開業する年の11月11日が日曜日であったことから、11月1日を開業日にしました。
おかげさまで本日当院開業7周年を迎えました。これからも「利他の心」を大切に地域のお役にたてるよう、また「うさぎ」のように跳躍できるよう精進してまいります。
「ご注文はうさぎですか?BLOOM」公式HP
https://gochiusa.com/bloom/
