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383. それでも私は Though I’m His Daughter

[2025.08.01]

(注)この記事には、若干「ネタバレ」の記載もあります。

 この前の連休の日曜日、栃木県小山市のシネマロブレにて、映画「それでも私は Though I’m His Daughter」を鑑賞しました。オウム真理教の元教祖・麻原彰晃(本名・松本智津夫)元死刑囚の三女、松本麗華(りか)さんのドキュメンタリー映画です。1995年の地下鉄サリン事件の首謀者である松本智津夫元死刑囚が逮捕された当時、麗華さんは12歳。それ以降彼女は「加害者家族」として、社会から差別や排除を受け続けることになります。このような苦悩の中生き続ける麗華さんを6年間にわたり取材し映画化したものが、この作品です。

 欧米では「加害者家族」は「隠れた被害者」とされ、支援の仕組みが整えられています。しかし、わが国ではその認識が十分に根付いていません。むしろ加害者の家族は、罪を犯していないのにかかわらず、「家族だから」という理由だけで、心理的・社会的に追い詰められてしまっているのが現状です1)

 映画「それでも私は Though I’m His Daughter」に登場する、松本麗華さんも例外ではありませんでした。「父の娘」という理由だけで、大学入学、就職、海外への渡航などことごとく拒否され(大学は弁護士の支えにより入学)、銀行口座を新規で作ることも断られてしまっていました。更に、父の死刑執行の直後には、SNSで数々の誹謗中傷を受けてしまいます。このような逆境の中、麗華さんが懸命に生きていく姿をこの作品で観ることができました。死刑執行から数か月後、とあるセミナーで自らの体験を語る場面がありました。2019年には社会で生きづらい人たちを支援する団体を協力者と設立。大学で学んだ心理学の知識を活かし、有料のカウンセリングを行なうようになりました。また、とある男性と交際していると本人が語る場面も。ジムに通い筋トレに励み、筋トレの大会に実名で出場するシーンもありました。
 このような麗華さんの姿をこの映画で拝見し、大変感銘を受けたのでした。これからも麗華さんを応援していきたいと感じました。

映画「それでも私は Though I’m His Daughter」公式HP
https://www.iamhisdaughter.net/
宇都宮市「ヒカリ座」で8月1日より上映されます。
小山市「シネマロブレ」での上映は終了しています。

【引用文献】
1) 斉藤章佳:夫が痴漢で逮捕されました 性犯罪と「加害者家族」.朝日新聞出版,東京,2025.

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